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2014年12月8日(月)

12月8日―太平洋戦争開戦73年

「生存圏」の名で領土拡大

戦後の平和秩序壊す「靖国派」の歴史観

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 安倍政権は、過去の日本の侵略戦争を肯定・美化する「日本会議」国会議員懇談会と天皇中心の国づくりをめざす「神道政治連盟」国会議員懇談会のメンバーが中心に座る内閣です。日本が東南アジア全域と太平洋地域へ侵略を進めた1941年のアジア・太平洋戦争開戦の12月8日を前に、あらためてこの戦争について考えます。(若林明)


 日本軍は、ハワイの真珠湾とマレーシアのコタバルを「奇襲」攻撃し、中国への侵略戦争につづいて、アメリカとイギリスに戦争を仕掛けました。戦争継続のための資源を確保する目的で南方への領土拡大をめざしました。侵略戦争を美化する「靖国派」は、「連合国の対日経済封鎖、つまりは戦争への挑発」(『靖国神社 遊就館図録』の「解題」)によって戦争になったなどといいます。

独「快進撃」で日本は「南進」

 事実はどうでしょうか。日本が「南進」を進めるきっかけは、ナチス・ドイツの欧州での「快進撃」です。ドイツはポーランドに続いてフランスに侵攻し、1940年6月に、フランスやオランダなどを占領しました。

 占領された国はもちろん、イギリスもドイツ戦に力を集中し、東南アジアや太平洋地域の植民地での力の支配が弱くなります。これを「好機」として、日本は領土的野心を膨らませました。それを明確に示したのが、日独伊の三国同盟による世界再分割の構想です。

 第2次近衛文麿内閣はドイツ、イタリアとの同盟締結を進めます。「日独伊枢軸強化に関する件」(9月16日、大本営政府連絡会議)で、世界の「新秩序」建設について、「南洋を含む東亜における日本の生存圏ならび欧州およびアフリカにおける独伊の生存圏を相互に尊重し」として、ドイツ、イタリアと手を結び、日本が、東南アジア全域、太平洋の島々、オーストラリア、ニュージーランドまでの膨大な地域を支配する意思を明確にします。「生存圏」とは、戦争を続ける上で必要な資源を確保するための地域です。日本は、植民地をこれまでの領有国から取り上げて自分のものにする日独伊三国同盟を締結します。(9月27日)

 日本はこのように、アメリカと外交交渉に入る41年5月以前から、東南アジア侵略の野望を持ち、その準備を進めていたのです。

日本人軍人は140万人が餓死

 日本の侵略戦争によってアジアの人々2000万人、日本人310万人の命が奪われました。そのうち日本の軍人・軍属の死者は230万人。うち140万人は餓死だといわれます。

 ニューギニア戦線の経験者は、戦友の死を「(体についた)アリもウジも払えなくなると、体は少しは動かすんだけど、もうダメ」「戦争で亡くなったんじゃなくて、そういうひもじい思いをして、そういうふうに亡くなっていった人が、たくさんおる」(NHK「戦争証言」プロジェクト著『証言記録 兵士たちの戦争(1)』)と語ります。食料や武器の補給を軽視し、「現地での自活」に頼る無謀な作戦と「生きて虜囚の辱めを受けず」という「戦陣訓」が兵士たちを死に追いやりました。

 日本の戦争指導部は、アメリカの軍事的優位のもとで敗戦が決定的になっても、国民の命を守ることは考えずに、「玉砕」作戦と「本土決戦」をすすめます。そのため沖縄戦、広島・長崎への原爆投下などによる犠牲を重ねます。45年8月にようやくポツダム宣言を受諾、敗戦を迎えました。

 戦前、日本共産党が主張した侵略戦争反対の主張は、戦後の国際的平和秩序の出発点の一つとなります。この戦争を「欧米に強いられた戦争」「アジア解放のための戦争」という「靖国派」による歴史の偽造はその出発点を否定する暴論です。

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