2014年12月5日(金)
主張
総選挙と憲法
改憲の根を絶つ国民の審判を
総選挙の論戦では憲法問題も焦点のひとつです。安倍晋三首相や自民党は、憲法解釈の変更だけで集団的自衛権の行使を容認する「解釈改憲」を進めるとともに、総選挙政策で「憲法改正原案」を国会に提出し「憲法改正」を目指すことを明記し、「明文改憲」の策動も強めています。公明党は「加憲」を主張して改憲を否定せず、安倍政権を右からあおる次世代の党は「自主憲法の制定」を掲げます。解釈改憲も明文改憲も許さないためには、憲法を守り生かす日本共産党を躍進させ、改憲の根を断つ国民の審判が重要です。
根っからの改憲論者
安倍首相は、第1次政権時代に歴代首相としては初めて「任期中の憲法改正」を主張したこともある根っからの改憲論者です。その右翼タカ派ぶりは、自民党内でも際立っています。2年前に第2次政権を発足させたあとも、改憲の手始めに、まず改憲手続きを定めた憲法96条を改定し、国会議員の3分の2以上の賛成がなくても国会が改憲案を発議できるようにと、策動を続けてきました。
憲法9条などの改定をしやすくするねらいだったのは明らかですが、さすがにこれは時の政権の都合で改憲しやすくするのは憲法で政府を縛る「立憲主義」に反するという猛反発をあび、引っ込めざるをえませんでした。
その後安倍政権が持ち出してきたのが、憲法解釈の変更だけで集団的自衛権の行使を容認する「解釈改憲」です。安倍政権が今年7月強行した閣議決定は、これまで「憲法上行使できない」としてきた集団的自衛権の行使に道を開くものです。文字通り、憲法解釈の変更だけで、日本をアメリカといっしょに「海外で戦争する国」に変えてしまう、とんでもないものです。安倍政権は総選挙後、法整備に必要な法案を国会に提出しようとしており、総選挙での審判が極めて重要です。
同時に見過ごせないのは第2次安倍政権が、国会が発議した改憲案を国民投票にかける手続きを定めた国民投票法の改定を強行し、「明文改憲」の準備を整えてきたことです。今年5月、自民党が民主党などと共同提出し成立させた法律は国民投票年齢を18歳にすることなどを決めました。まさに「明文改憲」に踏み出す準備です。
総選挙での自民党の公約も、「国民投票法一部改正法が施行されたことに伴い」「憲法改正原案を国会に提出し」としています。自民党は野党だった時代に自衛隊を「国防軍」と明記するなどの改憲案を準備しており、「明文改憲」の動きを阻止することが必要です。
憲法守り生かす世論こそ
もちろん、手続き法が準備されたとしても改憲の議論は詰まっていません。なにより、国民が憲法9条をはじめ改憲を望んでいないのは明確です。首相も、「(改憲案を発議しても)本番はまさに国民投票だ」と「自民党で国民運動を展開していきたい」と、改憲のための世論作りをねらっています。
国民が望まない改憲を「改憲運動」で押し付ける動きは危険です。総選挙で安倍政権が信任されれば、自民党が改憲に乗り出す危険はいっそう高まります。総選挙で安倍政権に厳しい審判を下すとともに、憲法を守り生かす国民の世論と運動を盛り上げることが急務です。