2014年12月4日(木)
消費税に頼らない別の道
こうして経済再生
国民生活を破壊するアベノミクス(安倍政権の経済政策)への審判の時です。安倍政権が世論の反対を押し切って強行した消費税増税で日本経済は危機的状況に陥っています。日本共産党が掲げる「消費税に頼らない別の道」への転換こそ日本経済を再生する道です。 (杉本恒如)
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8%で「増税不況」に
消費税率が8%に上がった4月以降、個人消費は大きく落ち込み、国内総生産(GDP)は2期連続でマイナスとなりました。黒田東彦日銀総裁は「非常に大きなショックを受けた」(11月25日)と発言。「夏には回復」との政府の言い訳は完全に打ち砕かれました。
「3党合意」で消費税増税をごり押しし、「増税不況」を招いた自民・公明・民主の責任は重大です。
ところが、安倍首相は10%への消費税増税を一時延期するだけで、2017年4月には「景気判断条項を付すことなく確実に実施する」と断言しました。日本経済を破壊する消費税増税を許すのか、きっぱり中止するのか―。総選挙の大争点に浮上しています。
富裕層や大企業を優遇する姿勢を改めれば、「消費税に頼らない別の道」が開けます。日本共産党は税制と経済という「二つの改革」を提案しています。
富裕層・大企業に応分負担を
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「能力に応じた負担」(応能負担)は近代税制の原則です。ところが、現在の税制では、富裕層や大企業の負担が軽くなる逆転現象が生じています。「所得が1億円程度を超えると所得税の負担率が下がる」「大企業の法人税の実質負担率(14%)が中小企業(25%)より低い」という状況です。
こうした不公平税制を改め、アベノミクスで急激に資産を増やしている富裕層(相続税の評価基準で5億円を超す資産)に「富裕税」(1〜3%の累進)を課し、不要不急の大型事業や軍事費の浪費をなくせば、20兆円程度の財源を確保できる―。これが日本共産党の提案です。
消費税の本質は、所得の少ない人ほど負担割合が大きくなる「逆進性」です。その消費税を導入・増税する一方、所得税や法人税の減税を進めた結果、「応能負担原則は骨抜きになってきた」と静岡大学の安藤実名誉教授は話します。
「しかも所得税減税は富裕層向け、法人税減税は大企業向けに行われてきたため、税制が『逆の所得再配分』をもたらすというゆがみが目立っています」。所得を再配分して格差を縮小すべき税制が、逆に格差を広げているとの指摘です。
安藤さんはいいます。「資本主義社会では経済格差の発生は避けられません。そういう経済活動を野放しにせず、税制や経費配分によって一定の規制を行うのが国家の役割です。応能負担原則を貫き、社会保障を『国民全体で支える』という提言は、共産党の政治的責任感を表しているといえます」
大企業の内部留保を一部活用
大もうけを続けている大企業の内部留保の一部を活用して国民の所得を増やす経済改革は、経済を再生する道です。
大企業(資本金10億円以上)の内部留保は、1997年度の142兆円から2013年度の285兆円に増えています。その一部を活用し、大幅な賃金アップ、安定した雇用の増加、中小企業への単価引き上げなどを進めれば、国民の所得が増えて経済が成長します。
先進国では名目2%程度の経済成長が普通です。それを実現すれば、10年後には20兆円以上の税収が増える―。これが日本共産党の掲げる経済改革です。税制改革と合わせて、40兆円の新たな財源が生まれます。
「内部留保を社会に還元させることは、日本経済を好循環に導く決め手になり得る」。こう話すのは、労働運動総合研究所の藤田宏事務局次長です。「大企業は、内部留保を元手にして株式や有価証券に投資する『財テク』を行い、配当金や売却益で大きく利益を増やしています。しかし、これは、日本経済を土台から揺るがす『悪魔の循環』を招いています」
大企業は、設備投資や人件費を削り内需を冷え込ます一方で、内部留保を積み増ししています。それを使った「財テク経営」への傾斜により、大企業の経常利益に占める財テク利益(営業外収益)の割合は04年度の0・6%から13年度の20・2%へと急上昇しています。
「設備投資をして本業を拡大するのではなく、内部留保を財テクに回して利益を上げるのは、実体経済を縮小させる構造です。反対に、賃金や雇用条件の改善によって内部留保を社会に還元させれば、消費が増えて生産が拡大し、設備投資も増え、日本経済が成長します。税収も増えます」