2014年12月3日(水)
各党党首第一声 何が見えたか
2日公示された歴史的な衆院総選挙。日本共産党は安倍政治の全体に真っ向から立ち向かいます。各地で行われた各党党首の第一声から見える総選挙の対決構図は―。
共産党 安倍政治の全体に対決
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自民、公明両党が政権与党として景気・経済対策について語るべきものを示せず、原発や環太平洋連携協定(TPP)、集団的自衛権や基地問題などで争点隠しをはかる一方、民主党は無反省、維新の党は与党へのすりよりを示す中、日本共産党は、安倍政治の全体に対する対決と対案を示しました。
日本共産党の志位和夫委員長は東京・JR新宿駅前での第一声で、消費税に頼らず大企業に応分の負担を求めることなど「五つの転換」を訴え。「日本共産党が伸びてこそ政治が必ず変わる」と述べました。あらゆる問題でがっぷり四つに組む日本共産党と自民党の激突の選挙です。
志位氏は、選挙になり、にわかに自民、民主、維新などの消費税10%増税容認勢力が「身を切る改革」を唱えていると指摘。政党助成金にどっぷり漬かった政党が国民に増税を押し付ける態度を批判。党首討論でも他党党首らは「目をそらして反論しない」としました。偽りの対決構図の演出は通用しなくなりつつあります。
自民・公明 国民の実感からかけ離れ
自民党の安倍晋三総裁が第一声をあげたのは、東京電力福島第1原発の汚染水問題で中止していた試験操業が9月に再開された福島県相馬市の相馬原釜漁港。
「復興のためにも経済を強くしていく。経済政策が問われる選挙だ」と提起。実質賃金16カ月連続マイナスなど景気悪化にもかかわらず、“賃金が上がり雇用が増えた”と都合のいい統計数字を並べたてました。
安倍首相は演説で、「実感がないのは4月に消費税を引き上げた。これが大きかった」「給料は上がったが、消費税の引き上げには追いついていない」と言い訳。しかし、「企業がもうけるようになれば雇用は改善し、賃金が増え、景気が回復していく」と繰り返すだけで、まともな経済政策を語れませんでした。
福島県民12万人が今もなお避難生活を余儀なくされているにもかかわらず、原発事故や汚染水問題にもふれず、「住まいも仕事もなりわいも進んでいます」と強調しました。
公明党の山口那津男代表も経済問題だけしか語らず、雇用統計など実感の伴わない数字を並べて「経済は明らかによくなっている」と繰り返し、「軽減税率の導入をめざす」と中身も不明なものをちらつかせて、増税を押しつける姿勢を強調しました。
一方で両氏とも「実感ないよと思っておられる方々がたくさんいるのも知っています」(安倍氏)、「実感がなかなかみなさんに伝わっていない」(山口氏)と認めながら、「消費税10%は延期するが、再び延期することなく実行していく」(山口氏)と強調。1997年と今回と消費税増税で大不況の引き金を引いたにもかかわらず、3度過ちを繰り返す考えを示しました。
民主 政権時代を反省せず
民主党の海江田万里代表の第一声は福島県いわき市。「アベノミクスの失敗隠し」というものの、景気悪化の引き金を引いた4月の消費税増税についてはダンマリ。国民の厳しい批判が加えられた政権与党時代の政策への無反省ぶりが際立ちました。
また、秘密保護法の強行成立、集団的自衛権の閣議決定と安倍政権が繰り返した強権的政治手法を批判しますが、これらの問題についての民主党の立場は聞かれずじまいです。
海江田氏は「まるであの3年半前の3月11日の原発事故がなかったかのような振る舞いでまた再び原子力をベストミックスといってどんどん動かそうとしている」と安倍政権を批判。しかし、民主党政権時代、経済産業相として原発再稼働を進めたのは海江田氏でした。
維新 安倍政権の“応援団”
安倍暴走政治の“応援団”としての役割が鮮明になったのが維新の党の第一声。江田憲司共同代表は横浜市の演説で、アベノミクスについて「私がみんなの党を結成したときのマニフェストにしっかり書き込んだ政策だ」と自画自賛。橋下徹共同代表も大阪市の演説で、「アベノミクスをバーンとふかすためには、われわれみたいなハイオクガソリン、維新の党を混ぜてもらわなきゃいけない」と安倍政権の応援団ぶりを明確にしました。
一方で、橋下氏らは「見極めは政治家が『身を切る』改革をやるかどうかだ」と売り込み。しかし、政治家、政党の最大の「既得権益」である政党助成金には指一本触れません。しかも、「国会議員給料の3割削減、国会議員数の3割削減、国家公務員・地方公務員の給料2割抑制、これをやって最後に国民に負担をお願いする。これがイシンノミクスだ」と、消費税増税の押し付けを誇ってみせました。