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2014年12月1日(月)

NHK党首討論 志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長は30日、NHK「日曜討論」に出席し、各党党首と討論しました。志位氏の発言と主なやりとりは次の通りです。


“アベノミクス”継続の是非は

この道には先がない――大企業応援から暮らし第一への転換を

 まず、安倍内閣の経済政策「アベノミクス」について議論となり、自民党・安倍晋三総裁(首相)は「雇用を改善し、賃金も上昇した」、公明党・山口那津男代表は「大きくみて景気は回復、好循環」と発言。一方、民主党・海江田万里代表は「期待はずれ」とのべ、「アベノミクスには副作用がある」とのべました。維新の党・橋下徹共同代表は「アベノミクス改革を断行しなければならない。しかし、失速ぎみだ」、次世代の党・平沼赳夫党首は「アベノミクスの前半は成功した。第三の矢は具体性に乏しい」とけしかけました。志位氏は次のようにのべました。

 志位 アベノミクスは、国民のくらしに二つの害悪をもたらしたと考えています。

 第一は、景気悪化です。GDP(国内総生産)2期連続マイナスという異常事態は、何よりも国民の反対を押しきって、消費税を8%に増税したことの結果であり、「増税不況」だといわなければなりません。“3党合意”で増税を推進した自民党、公明党、民主党の責任は重いといっておきたいと思います。

 第二は、格差の拡大です。一部の大資産家や大企業には巨額のもうけがころがりこみました。しかし、庶民には、円安による物価高で生活苦が襲っている。「雇用が増えた」とおっしゃいましたが、増えたのは非正規であって、正社員は2年間で、22万減っています。「賃金が増えた」とおっしゃいますが、実質賃金は15カ月連続マイナスです。

 「この道しかない」とおっしゃいますが、私は「この道の先はない。転換が必要だ」、大企業応援から暮らし第一の経済政策の転換が必要だと訴えたいと思います。

総雇用者報酬も実質ではマイナス――「賃上げ」というならなぜ派遣法大改悪か

 志位氏の発言に対し安倍氏は、「総雇用者所得でみなくてはいけない。消費税引き上げ分をのぞけば6月から実質も増えている」と言い訳しました。志位氏は次のように指摘しました。

 志位 アベノミクスの議論は事実にもとづいて行うことが大切です。安倍さんは、総雇用者所得は実質でも増えているとおっしゃいました。これも計算してみますと、去年の4月から今年の9月まで1・9兆円実質で減っている。事実はきちんとみなくてはいけない。

 賃上げというんだったら、なぜ労働者派遣法の大改悪をやるのか。この法案は、「派遣は臨時的・一時的なものだ」という原則を取り払って、「原則1年、最長3年」という期間制限も取り払って、無期限に派遣を使い続けることができる。こうなりますと、本当に「生涯ハケン」、「正社員がゼロ」になる。正社員がどんどん派遣に置き換えられる。こういう賃下げ政策はやめるべきです。いってることとやっていることが違う。

 大企業の内部留保を活用し、大幅賃上げ、安定した雇用を増やすことが必要だと思います。

消費税増税延期 財政再建は

消費税10%はきっぱり中止を――「消費税に頼らない別の道」で財源をつくる

 消費税の10%への引き上げと財政再建についての議論になり、安倍首相は、17年4月には増税を断行する考えをのべ、山口氏も「1年半後には必ず上げる」、海江田氏は増税して社会保障に回すよう求めました。志位氏は次のようにのべました。

 志位 消費税の10%への増税はやめるべきだと強くいいたい。

 これまでも消費税は1997年の5%への引き上げが景気悪化の大きな引き金になり、大不況になりました。今回も8%への引き上げが今の景気悪化を招いています。

 消費税というのは、所得の少ない方に重くのしかかる税金ですから、必ず景気を壊します。ですから、1年半先延ばしで実施するのではなくて、きっぱり中止を求めたい。

 私たちは、「消費税に頼らない別の道」があるといっています。富裕層や大企業に応分の負担を求める税制改革で財源をつくる。それから大企業の内部留保は285兆円あります。これを一部活用して大幅賃上げと安定した雇用を増やして税収を増やす。

 この二つをあわせてやれば、だいたい10年後には40兆円ぐらいの財源をつくれると具体的な試算もしています。社会保障と財政再建をすすめる道はあるから、「安心して増税中止の声をあげよう」と訴えたい。

「身を切る改革」――政治の不当な特権をただすというなら政党助成金の廃止を

 消費税増税にかんして安倍首相は「まず『身を切る改革』という議論が起こるのは当然」、海江田氏も「約束した議員定数の削減を何もやっていない」、橋下氏も「まず国会議員の『身を切る改革』をやるべきだ。そこから消費税増税だ」とのべました。志位氏は次のように指摘しました。

 志位 「身を切る改革」ということをいわれたが、一昨日の政治資金収支報告書を見て驚きました。自民党の本部収入の6割、民主党の本部収入の8割、維新の党の本部収入の7割は政党助成金です。国民の税金にどっぷりつかっておきながら、国民には増税を押し付ける。こんなバカな話はない。政治の不当な特権をただすというのだったら、政党助成金こそ廃止すべきだと強くいいたい。

 「身を切る改革」論というのは、結局、国会議員の定数を削るから、国民は増税をのんでくれという増税押し付け論です。そして、切る内容は、国民の民意が一番反映する比例(代表)を切るという話だから、民意を切ることになる。切られるのは、国民の暮らしであり、民意です。この考え方は間違っていると思います。

“安倍外交”は

“安倍外交”の二つの問題点――「北東アジア平和協力構想」を提唱する

 外交と集団的自衛権の議論になり、安倍氏は外遊について、集団的自衛権行使容認の閣議決定についてアメリカなどが「絶賛、支持している」、「インフラ輸出は3倍の9兆円になった」とのべました。志位氏は次のように指摘しました。

 志位 “安倍外交”には、二つの問題点があると思います。

 第一は、もっぱらやっているのは、原発の輸出、武器の輸出、そして集団的自衛権行使の支持のとりつけです。そこには世界とアジアの平和秩序をどう築くかという平和外交の戦略がみられない。

 第二に、首相の靖国神社参拝、それから「河野談話」を事実上、否定するような言動が、隣国である中国、韓国との関係悪化の日本側の要因となっています。過去の侵略戦争や植民地支配を美化する態度をとるべきではありません。

 私たちは、「北東アジア平和協力構想」というのを提唱しております。ASEAN(東南アジア諸国連合)の国々がつくっている東南アジア友好協力条約のような紛争を話し合いで解決する平和の枠組みを北東アジアでもつくろうじゃないか(という提案です)。その際、日本が過去の侵略戦争と植民地支配をしっかり反省することは真の友好の土台になります。こういう方向こそ、地域の平和と安定をつくる道であることを訴え、国内外でそういう方向に実るよう力を尽くしたいと思っております。

集団的自衛権行使の現実の危険――「海外で戦争する国」づくり

 集団的自衛権の行使容認の閣議決定にかんして安倍氏は、「国民の命と幸せな暮らしを守るための法整備をすすめていく」として、行使を可能にする法案を「来年の通常国会に提出したい」と表明。山口氏は「武力行使と一体となる後方支援はやってはいけないというのが政府の取り決め」と言い訳しました。

 海江田氏は、「閣議決定は撤回すべきだ」としたものの、「行使に行くのには慎重でなければならない」とのべるにとどまりました。橋下氏は「日本に足りない自衛権の整備ができるのか非常に心配している」として法整備を要求。平沼氏も「自民党と同じように憲法解釈で集団的自衛権を確立すべきだといってきた。考える方向は同じだ」とのべました。志位氏は次のようにのべました。

 志位 集団的自衛権の現実的な危険がどこにあるかについて、総理と国会で論をつめて議論してきました。

 2001年のアフガニスタン戦争、2003年のイラク戦争のような戦争をアメリカがひきおこした際に、自衛隊が従来の「戦闘地域」というところまで出ていって軍事活動することになることを、総理は認めました。そして、「自衛隊がいる場所が戦闘現場になる」ということを総理は認めました。それじゃ、攻撃されたらどうするのかと(聞くと)、撤収するといいました。しかし、それじゃすまないだろうとさらに追及しましたら、「武器の使用をする」ということを認めました。そうしますと戦闘になるんですよ。総理は、海外での武力攻撃を目的にした派兵はしないといいますけれども、たとえ兵站(へいたん)支援であっても戦闘になるんですね。

 ですから、集団的自衛権の行使というのは、日本の国を守ることでも、国民の命を守ることでもない。日米が肩を並べて「海外で戦争する国」づくりです。ですから私たちは「閣議決定」の撤回を求めます。秘密保護法の廃止をきっぱりとやるべきだということも強くいっておきたいと思います。


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