2014年12月1日(月)
主張
アベノミクス審判
暮らし置き去りからの転換を
安倍晋三首相は「アベノミクスを進めるのか、止めるのか」と強調し、経済政策「アベノミクス」だけが総選挙の大争点といわんばかりです。原発再稼働や集団的自衛権などが注目されるのを避けたい思惑からですが、格差拡大と景気悪化をもたらした「アベノミクス」を売り物にすること自体、安倍政治の深刻な行き詰まりを示すものです。総選挙では「アベノミクス」ノーの審判を下し、国民の所得を増やす暮らし最優先の政治へ転換することが求められます。
「この道」は大企業応援
「アベノミクスで企業が収益を上げ、雇用が増え、賃金が上がれば、消費が拡大し、景気が回復する」―。安倍首相が街頭演説やテレビ討論で繰り返す宣伝文句です。大企業は株高や“円安効果”でもうけを増やし、富裕層は株高などでうるおっています。しかし、賃上げの動きは鈍く、消費者物価が上昇したため、実質賃金は15カ月連続の減少です。中小企業の「円安倒産」も相次いでいます。
4月からの消費税増税で国内総生産(GDP)が2期連続で後退するなど「増税不況」が深刻化し、安倍政権は、来年10月からの消費税再増税を1年半先延ばししました。そんな状態なのに「アベノミクス」をさらに続ければ、来年も再来年も賃上げになって景気が回復し、増税ができるようになるといわれても、「そうですか」と信じる国民はまずいません。
「アベノミクス」が何より問題なのは、大企業や富裕層のふところを豊かにする対策が第一で、暮らしをよくする対策がないことです。大企業がもうければ、雇用や賃金が増えるという「トリクルダウン(滴り落ち)」は、世界でも日本でも成功したことはありません。
「アベノミクス」は暮らしを立て直すどころか、いっそうの暮らし破壊です。消費税増税と社会保障の「一体改革」は、医療も介護も年金も引き下げのオンパレードです。安倍首相が「アベノミクス」第2弾に持ち出しているのは、大企業のために法人税の大幅減税をする一方で、雇用、医療、農業などの各分野で規制緩和・撤廃をさらに推進することです。
富める者をさらに豊かにし庶民に生活苦を押し付ける「アベノミクス」をストップさせなければ、国民の暮らしは立ち行かず、日本経済の健全な成長もできません。
日本共産党は、「アベノミクス」にかわって、国民の暮らしを第一に、経済を立て直す道を明確に示しています。(1)人間らしく働ける雇用ルールの確立(2)暮らしをささえ、人間としての尊厳を守る社会保障(3)TPP交渉からの撤退、農林水産業、中小企業と地域経済の振興―です。暮らしの土台を支え豊かにする政策への転換です。
国民を応援する政治へ
日本経済の6割近くを占める家計消費を温めてこそ、日本経済も低迷から脱却できます。
首相が「この道しかない」と「アベノミクス」に突き進むのは経済無策ぶりを示すだけです。「規制改革」を推進してきた民主党は口先で「転換」といっても対抗の足場がありません。「アベノミクス徹底」をいう維新の党は文字通り首相の補完勢力です。
「暮らし第一」を掲げる日本共産党を大きく伸ばし、大企業応援政治から国民を応援する政治へ切りかえようではありませんか。