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2014年11月29日(土)

きょうの潮流

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 江戸の文化を支えた小川和紙(埼玉県)は「ぴっかり千両」といわれました。冬の晴れた日は紙がよく乾き、値千金の紙ができあがる。そんな意味から広まったそうです▼良質で知られ、江戸から最も近い紙里として発展してきた小川和紙。なかでも最高級品の細川紙(ほそかわし)が、岐阜の本美濃紙(ほんみのし)、島根の石州半紙(せきしゅうばんし)とともに、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。いずれもクワ科の楮(こうぞ)を原料に、手すき和紙の技術を受け継いできました▼季節の彩りを見せる里山。清冽(せいれつ)な水の流れ。いまは300カ所ほどに減りましたが、紙里はかつて全国に。古来大陸から伝わり、紙里から生まれた和紙は、日本人の暮らしばかりか、精神文化を育んできました▼薄くて丈夫で長持ち。伸縮性に優れた和紙は作り手を感じさせる温かみがあります。しかしそれが、恐ろしい兵器に使われていたことはあまり知られていません▼先の大戦末期、日本陸軍は各地の和紙産地と女学生らを大動員し、秘密裏に「風船爆弾」を生産しました。米本土に向けて9千発をこえる気球を飛ばし、オレゴン州ではその爆弾に触れて6人が亡くなる被害も▼もともと満州事変後、対ソ戦用に考案された気球兵器。それに使う和紙の開発を請け負わされたのが、小川和紙でした。かかわった職人は、注文が多く「気が狂いそうな仕事だった」と話しています。和食に続き、世界がたたえた「和」の伝統。それは、二度と戦争によってゆがめてはならない、人や環境に優しい平和の心でしょう。


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