2014年11月28日(金)
南アジア地域協力連合 首脳会合始まる
経済協力に不透明感
影落とす印パ対立
【ニューデリー=安川崇】南アジア8か国が参加する南アジア地域協力連合(SAARC)の第18回首脳会合が26日、ネパールの首都カトマンズで始まり、域内経済協力の強化案などの協議を27日も続けました。しかし冷却化が続く印パ2国関係などが影を落とし、合意への道のりに不透明感が出ています。
会合では加盟国間で鉄道・自動車道路の相互連絡を強めることやエネルギー協力を推進することについて、三つの協定に調印する方向とみられていました。しかし現地からの報道によると、26日の開会式後、パキスタンが合意しない意向を表明しました。
パキスタンは現地メディアに「協定を妨害しようとしているのではない。国内調整のため時間が必要だ」(アジズ外交顧問)と説明。特に鉄道・自動車の協定について国内輸送業界の合意取り付けが必要だとしています。
SAARCは全会一致が原則で、一国でも反対すると議決できません。エネルギー協力での合意をめざし、議長国ネパールを中心に27日、すり合わせの努力が続いているとみられます。
この問題について、協定を後押しするインドのモディ首相が26日、「協力はSAARC内部か、またはその外で進んでいく」と発言。パキスタンを除いた各国との個別協議で合意を目指す姿勢をほのめかしました。
印パ両国は8月、予定されていた外務次官会談をインドがキャンセルしたことなどをきっかけに関係が冷却化。今回会合でも、両国首相の会談予定はありません。
南アジア地域協力連合 1985年に設立された緩やかな地域協力連合。インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブ、アフガニスタンの8カ国が加盟。経済協力を中心に会合を続け、領土紛争などの政治課題は、議題から除外されています。