2014年11月26日(水)
きょうの潮流
がれきのすき間から助け出された2歳の男の子。落ちた屋根の下から救出された80歳の老人…。震度6弱の大地震に襲われた長野・白馬村では、住民同士が助け合い、救急隊と力を合わせた必死の救出劇がありました▼数十棟が倒壊。重傷者を出しながら死亡者はゼロ。「みんなが来てくれたから、助かった」。自宅が倒壊し、一時は娘とともに生き埋めになった男性は奇跡のようだと感謝を口にしました▼周りの人たちがいち早く救出活動にとりくんだ、普段から住民同士のつながりがあった、自治体の安否確認の仕組みが役立った。それが犠牲者を出さなかった大きな要因だと、専門家は指摘しています▼本州を南北に横切る国内最大級の活断層「糸魚川―静岡構造線断層帯」。二つのプレートがぶつかる境界線といわれています。今回の地震はその北端にある「神城(かみしろ)断層」の一部が動いた可能性が高く、ひずみ集中帯も重なるこの一帯では大地震が相次いでいます▼そのたびに住民を不安に陥れているのが、ひずみ集中帯に立地する柏崎刈羽原発の存在です。事故が起きれば故郷を追われ、住民のつながりも断たれることは福島原発で証明済み。日本には活断層が無数にあり、危険性をはらむ原発は全国にいくつも▼政府の地震調査委は、今回と同規模の地震はどこでも起こりうるとしています。また活断層がなくても大地震は起きています。災害列島ニッポン。いかに原発と相いれないか。それを再稼働しようとする政治に未来は託せません。