2014年11月24日(月)
チュニジア大統領選投票
“民主主義と全員参加を”
開始前から有権者が列
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【チュニス=小泉大介】2011年はじめの「革命」でベンアリ独裁体制が倒れたチュニジアで23日、民主化プロセスの総決算というべき大統領選挙の投票が行われました。4年近くの紆余(うよ)曲折の後にようやく訪れた選挙に、有権者は大きく胸を膨らませました。
チュニジアでは「革命」後、制憲議会選挙で第1党となったイスラム主義組織アンナハダが主導する暫定政府が発足しました。ところが、国家の「イスラム化」に世俗派野党が激しく反発。政治は一時まひ状態に陥りましたが、昨年10月に労働総同盟(UGTT)などの仲介で実現した与野党対話を経て今年1月には民主的な憲法が制定され、今回の正式政府樹立に向けた選挙の実施に至りました。
大統領選に先立ち先月26日に実施された議会選挙では投票率が69%となり、新しい政治への関心の高さが示されました。大統領選でも首都チュニスの投票所には開始前から有権者が列をつくり、さまざまな願いを一票に込めました。
通信会社で働く男性のカリム・ザイダニさん(30)は、「新大統領には自分自身や特定の政党の利益にとらわれず、すべてのチュニジア人のために働いてほしい。民主主義と全員参加、これが新しいチュニジアに必要な政治のあり方です」ときっぱりいいました。
主婦のアマル・ワフバさん(45)は、「チュニジアでは革命後にイスラム過激派が台頭して、とくに女性の権利への攻撃が繰り返されています。私たち自身が選ぶ新大統領には、この問題を解決する先頭に立ってほしい」と語りました。
大統領選には20人以上が立候補。先の議会選で第1党となった世俗派政党「チュニジアの呼び掛け」の党首であるセブシ氏がリードし、暫定大統領のマルズーキ氏らが追う展開となりました。議会選で第2党に後退したアンナハダは独自候補を擁立しませんでした。公式結果発表には数日かかる見込みで、いずれの候補も過半数を得票できない場合は12月に上位2候補による決選投票が実施されます。