2014年11月24日(月)
民主・維新の共通政策 大争点欠落
対決どころか政権すり寄り
民主党と維新の党は、総選挙(12月2日公示・同14日投票)に向け小選挙区での候補者擁立を調整して選挙協力を進めるため、5項目の「共通政策」を発表しています。
その政策内容は、(1)非正規労働者の処遇で同一労働同一賃金推進法案の制定(2)国と地方の役割分担の抜本的見直しと一括交付金の創設(3)外国からの武力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン事態)に対処する領域警備法の制定(4)ヘイトスピーチ(差別扇動行為)規制法制定(5)議員定数削減と1票の格差是正―というものです。
解散表明で安倍晋三首相が示した、消費税10%増税の2017年4月断行(18カ月先送り後の実施)や、集団的自衛権行使容認「閣議決定」の具体化立法推進、原発再稼働、環太平洋連携協定(TPP)、沖縄での米軍新基地建設など、総選挙の大争点はすべて抜け落ちた「共通政策」となっています。これを見ても、安倍政権と対決の足場を持たない両党の姿勢が鮮明です。
「共通政策」の中身からいっても対決姿勢はありません。派遣労働の拡大や、社会保障における国の役割を否定して地方に押し付けることなどは、安倍政権の掲げる「成長戦略」「構造改革」と軌を一にするものです。領海警備法案は、“グレーゾーン事態”における自衛隊の役割・権限拡大をめざすもので、安倍政権が集団的自衛権行使容認の「閣議決定」で確認した方向と同じです。「共通政策」に基づく自民党補完の「受け皿」づくりでしかありません。
維新の江田憲司代表と民主党の細野豪志元幹事長は、23日の民放番組でそれぞれ「野党再編」の意味を強調しました。「(共通政策で)大きな方向性としてここがひとつの受け皿なんだというところまできた。選挙が終わった後はどういう形で一緒にやれるかいろんな協議があっていい」(細野氏)、「この指とまれで、政治理念と基本政策のもとに民主も維新も解体して一つの政党になるのでなければ、国民は信頼してくれない」(江田氏)。選挙後の合流も視野に入れていることを示しました。
細野氏は「(消費税大増税と社会保障の一体改革の民自公)3党合意があるのだから、選挙で増税のことを言わなかったのに上げたのは『民主党の失敗だ』と攻撃するのではなく、安倍首相は、国家の大事な問題を与野党で話し合う姿勢に変わってほしい」と協調を呼びかけました。平和と民主主義の根幹で暴走を続ける安倍政権に“対決”どころか、すり寄る姿勢を示したものです。