2014年11月24日(月)
主張
派遣改悪再び廃案
雇用破壊を断念させる審判を
衆院解散になった臨時国会で、安倍晋三政権が重要法案と位置づけた労働者派遣法改悪案が廃案になりました。6月の通常国会での廃案に続く2度目の廃案です。自民・公明両党は多数の力で強行を狙いましたが、全労連、連合、全労協など組織の違いを超えた労働者の共同の広がりと運動が廃案に追い込みました。大きな成果です。たたかいをさらに広げ、「生涯ハケン」「正社員ゼロ」社会に道を開く労働者派遣法改悪をはじめ安倍政権による雇用破壊を断念させようではありませんか。
ごまかし答弁も通用せず
労働者派遣法改悪案は、これまで「臨時的・一時的業務に限定し、常用雇用の代替にしてはならない」としてきた労働者派遣の大原則を根本から覆すものです。
いままで「専門26業務」と指定していた期限のない派遣の業務区分を撤廃することや、延長しても3年が上限だった派遣の期間制限をなくすとしています。正社員の派遣労働者への置き換えが際限なく広がり、労働者を派遣のままで使い続けることが狙いです。
財界の求める「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりをめざす安倍政権の経済政策「アベノミクス」の大きな柱でもあります。
派遣法改悪は過去何度も行われましたが、派遣労働を大規模にまん延させる大改悪案にたいして労働組合や弁護士団体、研究者から大きな批判が巻き起こりました。
安倍首相や塩崎恭久厚生労働相らは“派遣労働者の雇用安定と保護のためだ”と繰り返しましたが、こんなごまかしはとても通用するものではありません。
公明党が突然、派遣労働者を臨時的・一時的な働き方に位置づける原則を盛り込んだ「修正」を示したことは、改悪案の欠陥ぶりを与党自ら認めたものです。さらに塩崎厚労相が改悪案にないことを答弁し、厚労省の事務方があわてて訂正するなど、まともな審議ができない状況に陥りました。
政府・与党が繰り返し狙った衆院厚労委員会での採決さえ許さなかったことは、大企業の利益のために労働者を犠牲にする危険な本質が明らかになった結果です。世論と運動と結んだ、日本共産党の国会論戦は廃案へ追い込むうえで大きな役割を果たしました。
労働者派遣を臨時的・一時的業務に限定することは当たり前になっている原則です。国際的な流れに逆らう安倍政権の姿勢は異常というほかありません。派遣法改悪に続き、長時間労働を野放しにする「残業代ゼロ」や「解雇自由化」などの労働法制大改悪も行おうとしています。低賃金・不安定雇用が拡大することは、日本経済の健全な成長にとっても重大なマイナスです。安倍政権の暴走をストップさせ、労働者が大事にされる日本へ転換するときです。
人間らしい働き方へ
安倍首相は今回の解散・総選挙を「アベノミクス解散」などといい、選挙がすめば「この道しかない」といって雇用破壊の加速などを狙う魂胆です。こんな野望を絶対に許すわけにはいきません。
総選挙は、派遣法改悪を許さなかった世論と運動、声を集め、安倍政権の雇用破壊ノーの審判を下す絶好の機会です。雇用破壊と正面からたたかい「人間らしい労働」の実現をめざす日本共産党を大きく伸ばすことが重要です。