2014年11月21日(金)
安倍経済失政 地方紙が批判
家計は四苦八苦 ■ 企業や富裕層を富ませる一方で下層に浸透せず
7〜9月期の国内総生産(GDP)は、予想外の2期連続のマイナスでした。多くの地方紙が18日付社説で、アベノミクスの失政を批判しています。
“期待急減”
「神戸」は、アベノミクスについて「金融緩和と財政出動、成長戦略の3本の矢で景気の好循環をつくり、デフレ脱却を目指す」ものとしたうえで、「その効果への期待が急速にしぼみつつある」と批判しました。
消費税増税による増税不況が鮮明になり、円安による物価上昇が家計と中小企業の営業を直撃しています。「河北新報」は、「国民の生活に直結する経済は、予断を許さない危うい状況にある。増税と、アベノミクスの副作用である円安に伴う物価上昇の直撃を受け、家計、特に生活弱者は暮らしのやりくりに四苦八苦している」と警鐘を鳴らしました。
「北海道」は、「輸入原材料などの値上がりが家計や中小企業を直撃し、賃金の伸びが物価の上昇に追いついていない。物価の変動を考慮した実質賃金のマイナスが続く中では、消費が頭打ちになるのは当然である」と指摘します。
「4月の増税が消費の足を引っ張り続けていることを物語る」と指摘したのは「信濃毎日」です。「増税や円安による物価上昇に賃金が追いつかず、家計は節約姿勢を強めた」と述べています。
“転換せよ”
アベノミクスの考えの基本にあるのは、大企業のもうけが、いずれ波及する(トリクルダウン)というものですが、これは日本経済の現実を無視したものです。「京都」は、「大胆な金融緩和、財政出動で需要創出と株高をあおったが、大幅な円安、物価上昇の負の影響増に国民経済が耐えられなくなっている」としたうえで、「安倍首相の言う『好循環』は見えていない。企業収益が家計に回る保証はなく、不安定な非正社員が全労働者の4割に迫る中ではより困難」と指摘しています。
「東京」は「アベノミクスは企業や富裕層を富ませる一方で、その滴は下層に浸透せず、トリクルダウンは幻想だった」と強調。「企業の経常利益はこのところ、右肩上がりで増える一方、雇用者の平均年収や正規雇用者数は逆に右肩下がりで減り続けている。裏返せば、人件費コストを減らすことによって企業ばかりが潤ってきたのである」と、アベノミクスの問題点を突き、「行き詰まりを見せるアベノミクスは転換すべきだ」と主張しています。
各紙が指摘する日本経済の危機的現状を転換するためには、庶民を犠牲に大企業と富裕層を優遇したアベノミクスをストップし、暮らし第一で経済を立て直すことが求められているのです。
(金子豊弘)