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2014年11月16日(日)

主張

TPP交渉難航

安倍政権はただちに撤退せよ

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 アメリカのオバマ大統領や安倍晋三首相など、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する12カ国の首脳が北京で開いた会合で、年内の大筋合意は断念し、来年も交渉を続けることを確認しました。交渉期限は決めていません。このまま“漂流状態”に入るとの見方さえあります。交渉の難航は、国の形を変えるとまでいわれるTPPをめぐる対立の根深さを示すものです。交渉の中で日本は農産物や軽自動車などの輸入拡大を求められ、TPPに合意する前から譲歩を迫られています。国民の暮らしを破壊するTPP交渉からただちに撤退すべきです。

アメリカ主導を浮き彫り

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に先立ち開かれたTPPの首脳会合は、開催地の中国がTPP交渉に参加していないこともあって、アメリカ大使館のなかで開かれるという異例なものでした。アメリカ主導の交渉ぶりを浮き彫りにしています。

 首脳会合で発表された声明には「大きな進展を歓迎する」「終局が明確になりつつある」などの文言が盛り込まれましたが、次の首脳会合どころか閣僚会合や首席交渉官の会合でさえ、いつ開かれるのか明示されていません。

 TPPはもともと関税や貿易の障害とみなした規制を完全に撤廃し、モノやサービスの移動を自由化するのが原則です。国ごとの事情も違い、競争力も違うのに、一律のルールを押し付ければ、競争力の強い国に有利になるのは目に見えています。農産物の輸出国と輸入国、市場開放を迫る国と国内産業を守ろうとする国の間で交渉が難航するのは避けられません。

 アメリカのねらいはアメリカ流のルールを押し付けることです。交渉のカギを握るといわれる日米間でも、アメリカが日本に農産物の輸入拡大、とくに牛肉や豚肉の輸入関税を撤廃することや、自動車の輸入を増やすため安全に関わる基準まで緩和するよう求めています。牛肉や豚肉の関税撤廃は国内の畜産農家の存続にかかわる問題であり、軽自動車の規制緩和は国民の安全に反します。TPP参加に前のめりな安倍政権も簡単に譲歩できないのは当然です。

 TPPを推進する側は、TPPが実現すれば日本も恩恵を受けるといいます。しかし、アメリカ農務省の報告書でも、合意によってもっとも農産物の輸出を増やすのはアメリカで、参加国全体の輸出増加額の70%は輸出先となる日本に押し付けられ、日本農業はほぼ一人負けになると試算されています(日本農業新聞13日付)。輸入が急速に増えれば国内での農業は成り立たなくなり、食料の安定供給が脅かされます。TPPが日本の農業と国民の暮らしを破壊することは明らかです。

安倍政権の暴走許さない

 日本の国としてのあり方を一方的に変えるTPPに、日本の農業団体や労働組合、医療関係者など多くの国民が反対してきました。安倍政権がTPP交渉に参加したこと自体、こうした国民世論を踏みにじり、国民への公約を裏切ったものですが、交渉の難航は参加に道理も展望もなかったことをいよいよ浮き彫りにしています。

 TPP参加を推進する安倍政権のこれ以上の暴走を許さないために、交渉からの撤退を求めていくことがいよいよ重要です。


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