2014年11月12日(水)
東京海上の自動車保険18万件 不払い 1年分除外
金融庁に監督責任 契約者ないがしろ
大門議員が追及
「不払いにはあたらない」「当時としては最善の判断だった」―。今年2月、払うべき保険金18万件、24億円を払わず9年も隠してきた東京海上日動火災保険(東京都千代田区)の永野毅社長が会見で居直った言葉です。11日の参院財政金融委員会で、日本共産党の大門実紀史議員の質問で、同社と金融庁の契約者ないがしろの姿勢が浮かびあがりました。
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今回、不払いが発覚したのは、自動車保険の一部で、見舞金や香典、代車費用などに充てる「臨時費用(臨費)」と呼ばれる保険金です。
東京海上は、2002年4月から03年6月までに払うべき「臨費」18万件を払っていませんでした。この数は、05年に損保26社が金融庁に報告した不払い件数に匹敵、金額にして24億円にのぼります。
金融庁は、05年に損保48社に対して、過去3年間(02年4月〜05年6月)の支払い漏れ件数について報告を命じました。(図)
「支払い漏れ」の定義について金融庁は、「契約者から請求が無かったため、本来支払われていなければならないものを支払っていなかったこと」としていました。
ところが、東京海上は03年6月までの1年3カ月分については「請求がないものは不払いにならない」として、金融庁への報告から除外。契約者に案内をすることもしませんでした。
大門議員は財金委員会で、調査から9年がたち、転居先がわからないなどの理由で契約者への支払いが難航している点を指摘。「他の損保は3年分を報告しているのに、東京海上だけ2年分の報告を金融庁は容認したのか」とただしました。
これに対し、金融庁の森信親(もり・のぶちか)監督局長は「その時の東京海上の判断には一定の理由があると、当庁は判断して受理したものと認識している」と無責任な答弁に終始しました。
大門氏は「金融庁が指導していれば、不払いがきちんと払えた。契約者の観点に立たないで、なあなあで東京海上とやったから、この事態になったのではないか。当時の金融庁の対応を再検証すべきだ」と求めました。
麻生太郎金融担当相(財務相)は「適切な保険金の支払いは、保険会社にとって、もっとも重要な責任の一つだ」と答弁しました。
本紙の取材に、東京海上の関係者は「保険金の支払い業務の上で、請求がなくても臨費は自動的に払うことになっている。『請求が無かったから』という会社の説明は詭弁(きべん)だ。お客に責任があるかのような永野社長の発言はとんでもない」と憤ります。 (矢野昌弘)
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