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2014年11月11日(火)

主張

介護改悪の具体化

制度崩壊へ また加速するのか

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 安倍晋三政権が2015年度からの介護保険の仕組みの改悪と報酬削減に向けた動きを加速しています。6月の通常国会で成立を強行した「医療・介護総合法」にもとづく具体化ですが、法案審議では大きな焦点ではなかった負担増計画を追加してくるなど、国民の願う「安心の介護」に完全に逆行する動きです。財務省は公費で支払う介護報酬をかつてない規模で削減する案まで提示しました。介護保険制度を大本から掘り崩す大改悪は、やめるべきです。

手当たり次第の負担増

 安倍政権がすすめているのは15年4月から次々と実行予定の改悪の具体化です。同年4月は、3年に1度の介護報酬改定もあります。制度改悪と報酬改定を一体で実行していくことを狙っています。

 改悪の大枠は「医療・介護総合法」で決められていますが、要支援1・同2の利用者の訪問・通所サービスを保険給付対象から外し、市町村事業に丸投げするなど、公的介護の支えを大きく後退させる中身に、地方自治体などから批判が上がっています。一定所得以上の人の利用料負担の1割から2割への引き上げ(15年8月)は、介護保険導入後初の利用料負担増であり、「2割負担原則化への布石」と危ぐの声が広がっています。

 「総合法」の具体化そのものの中止が必要だというのに、厚生労働省は先月末、特別養護老人ホームの多床室(相部屋)の部屋代徴収案をまとめました。厚労省審議会で法成立後になって提案された際に批判された負担増計画です。

 特養の相部屋は、ベッドをカーテンなどで仕切ったもので低所得の利用者が多く、保険給付の対象にして部屋代の負担をやわらげてきたものです。15年4月から部屋代を保険給付対象から外す方針を押し切ろうというのは、手当たり次第に負担増を求める安倍政権の乱暴さを浮き彫りにしています。

 特養をめぐっては、すでに要介護3以上の人に入所要件を絞り込む厳格化や、一定以上の預貯金などのある人の食事・居住費の軽減措置の縮小・打ち切りも行う方針です。お金のない高齢者が介護施設から締め出される「老人漂流社会」に拍車をかける改悪は許されません。

 財務相の諮問機関・財政制度等審議会が打ち出した介護報酬の「6%以上」引き下げ要求は、介護保険の土台を破壊させかねないきわめて異常な提案です。制度発足以来、これほど下げた例はありません。かつて2%台の引き下げを繰り返し、介護事業者や労働者が苦境に追い込まれ「介護崩壊」という深刻な事態を生み出したことを忘れたのか。取り返しがつかない被害を引き起こしかねない削減案はきっぱり撤回すべきです。

削減路線の転換こそ

 「軽度者」を切り捨てる介護改悪・報酬削減は、早期の発見・治療が必要な認知症の対策にも完全に逆行します。安倍首相は今月初めに日本で開催された認知症の国際会議で、認知症対策充実をうたいました。それなら真っ先に、認知症の人と家族が厳しく抗議の声をあげている「総合法」の具体化をやめることがスジです。

 介護改悪の具体化と実施を許さない市区町村ごとのたたかいを大きく広げるとともに、消費税増税に頼らぬ社会保障の再生・充実へ転換させることが急がれます。


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