2014年11月9日(日)
参院本会議
「土砂災害防止法案」
辰巳議員の質問(要旨)
日本共産党の辰巳孝太郎議員が5日、参院本会議で行った「土砂災害防止法案」の質問(要旨)は以下の通り。
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8月に広島市で起こった土砂災害により74名もの方々がお亡くなりになりました。大惨事を引き起こした根本原因は、土石流災害の危険度が高いと指摘されてきた土地に家を建てることが規制されないまま放置されてきたことです。国民の安全を守るために、災害の危険がある地域では開発行為そのものを規制するという政策転換が求められています。
法案の具体的内容について伺います。
第一に、警戒区域指定の前提となる基礎調査についてです。
土砂災害防止法が2000年に制定されてから14年が経過しています。しかし、02年に公表された全国の土砂災害危険箇所、約52万5000カ所のうち、基礎調査の完了は73%、区域指定の完了は68%にとどまっています。基礎調査が終了している都道府県は13県で、うち警戒区域の指定が完了しているのは6県、特別警戒区域の指定も完了しているのは3県のみです。
法案は、都道府県に基礎調査の実施の促進と結果の公表を義務付けるとしています。法改正を受け、国は都道府県に計画策定を求め、その進捗(しんちょく)状況を把握することで調査や指定を進めるということですが、それだけで国の責任を果たしたことになるでしょうか。
基礎調査が遅れてきた最大の原因は、人材と財源が足りないからであり、抜本的な支援の強化こそ求められています。
土木事務所など土砂災害対策の職員を確保し、基礎調査と区域指定を進めるために、現在、政令で3分の1とされている基礎調査の補助率を大幅に引き上げることが緊急に必要です。広島県議会はじめ地方議会から、交付金の拡充、国庫負担の引き上げを求める意見書が提出されています。これらを真剣に受け止めるべきです。
次に災害時要援護者関連施設への対応について伺います。
法案は、土砂災害警戒区域の指定があった場合、高齢者、障害者、乳幼児など防災上の配慮を要する者が利用する施設について、市町村防災計画により具体的に位置づけることを規定しています。
09年7月には山口県防府市の特養ホームを土石流が直撃し7名が犠牲になり、これを受けた調査の結果、土砂災害の恐れのある要援護者関連施設が1万3730施設あることが公表されました。このうちの半分以上、7120施設が、砂防関係施設が未整備でかつ土砂災害警戒区域の指定もされていません。また、これら施設の対策がどれだけ進んだのか国として把握していないことが明らかになりました。危険な施設の対策状況を把握せずに土砂災害から命を守る国の責任が果たせるのでしょうか。
広島で土砂災害が発生して以降、こうした施設が警戒区域や特別警戒区域内に立地している実態が次々と明らかになっています。現時点での要援護者関連施設の立地状況を早急に把握し必要な対策を講じるべきです。