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2014年11月8日(土)

主張

川内原発再稼働

問題山積のまま強行許されぬ

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 安倍晋三政権が全国で停止中の原発再稼働の突破口にしようとしている九州電力の川内(せんだい)原発(鹿児島県)について、鹿児島県議会が再稼働を求める陳情を県内外の反対を押し切って採択、伊藤祐一郎知事も再稼働を認めることを明らかにしました。立地自治体の薩摩川内市の議会と市長もすでに同意を表明しており、安倍政権と九電は強行する構えです。川内原発をはじめ全国の原発は、東京電力福島原発のような重大事故を防ぐ対策も、万一の場合の避難計画も整っていません。重大な問題を残したまま一部の同意だけでの再稼働強行は断じて許されません。

安倍政権が押し付けた

 安倍首相は原子力規制委員会の審査に「合格」した原発は再稼働させると繰り返してきました。原子力規制委は9月に新しい規制基準にもとづく審査書を交付、これをうけ小渕優子前経済産業相が鹿児島県に文書で再稼働を要請し、宮沢洋一新経産相も連休中の3日同県を訪れ、「万一事故が起きた場合は国が責任を持って対処する」と再稼働への同意を迫りました。

 鹿児島県議会と県知事の同意がこうした安倍政権の圧力によるものなのは明らかです。宮沢経産相は鹿児島入りした際、「せんだい」原発を「かわうち」原発と呼んでひんしゅくを買っていますが、ここにも「国策」を押し付けるだけで住民のことは考えない安倍政権の無責任な姿勢が示されています。

 川内原発の再稼働には問題が山積しています。安倍政権は規制委が「安全」と認めた原発は再稼働させるといいますが、川内原発に対する規制委の審査は原子炉設置の変更だけで、工事計画や保安規定についてはまだ審査中です。工事が完了した後の検査もあります。「安全」がいえるのは先の先です。

 規制委の基準自体も問題だらけです。規制委は福島原発の事故を踏まえ地震や津波の基準を見直したといいますが、福島原発事故の原因も究明されていないのに、どうして新しい基準が「安全」といえるのか。川内原発の場合、福島原発と違って火山噴火対策が大問題ですが、規制委は満足な審査をしていません。日本火山学会の原子力問題対策委員会は、火山対策の審査に使う火山影響評価ガイドそのものの見直しを求めています。規制委の審査が「安全」を保証していないのは明らかです。

 地元で開かれた説明会で質問が集中したのは事故が起きた場合の避難計画ですが、規制委は避難計画を審査の対象としていません。政府も自治体任せです。先日北陸電力志賀原発でおこなわれた政府の防災訓練でも、計画通り避難できない事態が続出しました。住民が不安をつのらすのは当然です。

県民・国民の声を聞き

 安倍政権や九電は、鹿児島県の知事と議会、薩摩川内市の市長と議会が同意すれば地元の同意が得られたと再稼働を強行する構えですが、ここにも問題があります。原発が事故を起こせば、漏れ出した放射能は広範囲に拡散します。福島原発事故のあと政府が避難計画の策定を求めた30キロ圏内だけでも鹿児島県内には九つの自治体があります。これらの自治体の意思を無視し、一部の同意だけで再稼働を強行するのは許されません。

 国民・県民の声を聞くなら、国も九電も川内原発の再稼働は断念し、「原発ゼロ」に向かうべきです。


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