2014年11月7日(金)
インドネシア 貧困対策始動
医療費も教科書も学校制服も
カード提示で無料に
【ハノイ=松本眞志】インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は3日、燃料価格上昇に伴う庶民生活の悪化対策として、貧困世帯を対象に「健康カード」と「スマートカード」の支給を開始しました。インドネシアでは、石油や軽油などの燃料費補助金が国家予算の負担として慢性化。この削減問題が前ユドヨノ政権時代から先送りされてきました。就任から2週間、早くも公約実現に着手しました。
ジョコ大統領は、現在、財政健全化のために燃料費補助金削減を迫られているとされます。削減を行った場合、1家族の燃料費負担額が倍増し、特に貧困世帯が大きな打撃を受けるとみられます。
そこで考え出されたのが「インドネシア健康カード」と「インドネシア・スマートカード」。これらのカードの提示だけで医療費だけでなく、学校教科書や制服代が無料となります。カードは3日からジャカルタ市内の五つの郵便局で支給され、受給資格を持つ市民が受け取りのために列をつくりました。
カード支給の予算は、ジョコ政権がすすめる貧困対策プログラムの予算6兆2000億ルピア(約583億円)のなかから捻出します。第1段階として100万の貧困世帯を対象に支給し、最終的には1500万世帯への支給をめざします。最初はジャカルタ市内から、その後、全国に広げていく考えです。
またジョコ政権は、「繁栄家族カード」も準備。このカードを持っていれば、毎月20万ルピア(約1900円)が支給されます。カードを受け取った人は、「仕事も収入もないいま、少なくともこのカードは何か食べるものを買うのに助かる」と語っています。