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2014年10月30日(木)

きょうの潮流

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 東京都内の小さなホールが、400人近い人々で埋め尽くされました。「加藤周一さんに会いに行こう!」映画とトークの夕べ。帰途につく人が皆、いい顔をしています▼映画は加藤さんの遺言になったドキュメンタリー「しかしそれだけではない。加藤周一幽霊と語る」。筆者が見るのはこれが3度目。今だから心にしみる言葉も多い▼映画には東大時代の恩師・神田盾夫、渡辺一夫といった4人の「幽霊」が登場します。筆頭が26歳で暗殺された鎌倉幕府3代将軍・源実朝。戦争で死ぬことを覚悟していた加藤さんは実朝に自らを重ねます▼4人目の「幽霊」は、学徒出陣で戦死した親友・中西哲吉。「どうして私じゃなくて彼なのかと。一種のうしろめたさと闘うために戦争反対なんかの話をするっていうことになるかもしれない」。晩年、「九条の会」の運動に全力を傾けた加藤さん。戦争を生き延びた加藤さんにとって、4人の「幽霊」は精神的支柱のようなものだったのでしょう▼今回、くぎ付けになったのは、加藤さんが10年後の未来について語ったところでした。九条を守った10年かどうかで大きく変わると。今がその正念場です。東北アジアの平和についてはこうも語ります。「『何べん謝ればいいのか』って言うけれど、そうじゃないんで。死んだ人の数だけ謝らなきゃいけない」▼後輩を励ますことを忘れなかった加藤さん。「個人の意識が全世界に意味を与えることができるんだよ」。その言葉に泣く若者もいるといいます。


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