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2014年10月27日(月)

現地に災害公営住宅 住民に不安 宮城・名取市

「海側 住みたくない」

750人死亡の閖上地区 合意ないまま着工

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 東日本大震災で死者・行方不明者約900人という被害にみまわれた宮城県名取市。なかでも、死者約750人と大きな被害を受けた閖上(ゆりあげ)地区は、住宅の現地再建を進めようとしています。津波が襲った現地での再建に不安を訴える住民も多く、事業が本格化した今後も市の対応が問われます。(佐藤幸治)


地図:閖上地区の現地住宅再建

 閖上地区の復興土地区画整理事業の起工式が20日、開かれました。個人住宅と災害公営住宅合わせて755世帯を造成。早ければ2016年3月ごろに戸建ての災害公営住宅が完成します。

 現地再建する名取市の計画に対しては、当初から不安の声が出され、意向調査のたびに現地再建希望者は減少しました。

内陸100戸だけ

 市は、当初の事業計画案から変更を重ね、戻ってくる人口を5500人としていたのを推計2076人に、居住地のかさ上げ面積は約半分に縮小しています。

 住宅の現地再建を不安に思う住民は多く、市の事業計画認可を検討する県の審議会には、より内陸側に移転先を求める約450人分の署名と意見書が提出されました。

 昨年11月に事業計画は認可され、意見書は不採択となりました。しかし、審議会から市に対し、住民の合意が十分形成されておらず、被災者の希望に応じた移転先が可能な限り確保されるよう取り組むべき―という付帯意見と建議が出されています。

写真

(写真)事業面積57ヘクタールのうち32ヘクタールを海抜5メートルまでかさ上げする閖上地区=20日、名取市

 市内の仮設住宅で暮らす67歳の男性は、「閖上で事業が始まるのはうれしい。ただ、津波の体験から、戻りたくないと言う人は多い。自分も西側の災害公営住宅ならいいが、海よりの東側なら戻りたくはない」と訴えます。

 市が閖上地区に居住していた被災者用に整備する災害公営住宅は、閖上地区524戸と内陸側の地区100戸です。

 2月から4月にかけて市が実施した最終意向調査では、災害公営住宅を希望した被災675世帯(閖上地区585世帯)のうち、閖上地区を第1希望としたのは169世帯にとどまりました。

 しかし、市は、第3希望までのいずれかに閖上地区を挙げた合計504世帯を閖上希望者とみなしています、

計画見直しを

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(写真)起工式で関係者とくわ入れをする佐々木市長(中央)=20日、名取市

 223世帯が第1希望に挙げた内陸側の地区の災害公営住宅を100戸としたことについて市の担当者は「市街化調整区域でライフライン上の制限があり、戸数は増やせない」と説明しています。

 起工式後、佐々木一十郎市長は造成地の安全性を強調した上で、「正直、もっと閖上に戻ってきてほしい。機会があれば不安に思っている住民に説明していきたい。戻ってきて良かったという街にしたいと思う」と語りました。

 日本共産党の小野寺美穂市議は、「意向調査で閖上地区の海側の災害公営住宅には入りたくないと書いた人は多く、住みたくない人が閖上地区に戻らされる可能性があります。被災者の意見をもっと聞いて、計画を見直すよう求めていきたい」と話しました。

表:被災住民が入居を希望する災害公営住宅(4月末現在)

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