2014年10月23日(木)
医療・介護・雇用 国民ないがしろ
塩崎厚労相の危険な姿勢
「規制改革の切り込み隊長」(安倍首相)として起用された塩崎恭久厚生労働相。初答弁した衆・参院の各厚労委員会で危険な姿勢が鮮明になりました。
「一定の痛み、負担増を伴うから、十分に議論して制度見直しの検討を進めたい」。塩崎氏はこう述べ、年金を自動削減する「マクロ経済スライド」の来年度発動を狙う考えを表明(15日、衆院)しました。日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が、国が約束する現役世代比50%の水準も割り込むと追及すると、「目減り」と言ってごまかしました。
持論である年金積立金の株式運用の拡大は、危険な未公開株についても「ゼロベースで考えて」と対象にすべきだとの考えを強調し、「国内債券並みのリスクの維持」という原則までないがしろにする姿勢を示しました。
財務省の審議会による介護報酬6%減の案については、「このままやると考えていない」としながらも「一つのたたき台にする」(16日)と言明。日本共産党の小池晃参院議員から「介護の質が低下する」と批判されました。
医療問題では、「医療法人も経営が大事な側面だ」と医師以外を理事長に選べるようにして、収益・効率重視に変えていく考えを表明しました。
塩崎氏はまた、「所得の再分配だけでは経済全体のパイは縮んでいく」「成長なくして社会保障の再建もなし」として、企業の成長力強化を優先する考えを表明。その立場から、「時間ではなくて成果で評価される新たな労働時間制度を議論する」として、長時間労働を野放しにする「残業代ゼロ」制度の導入を強調しました。
雇用政策についても、これまでの失業防止の考えから「労働移動支援型に政策転換する」と述べ、財界が求める解雇規制の緩和を進める考えを述べました。