2014年10月23日(木)
厚労省 「患者申出療養」を提案
混合診療拡大 安全性後退も
中医協
厚生労働省は22日の中央社会保険医療協議会で、患者の申し出によって未承認の医薬品や医療技術などを認める「患者申出療養制度」を提案しました。この日の議論では、同制度が、原則禁止されている「混合診療」(保険・保険外診療の併用)をなし崩し的に拡大する問題点が浮かび上がりました。
同制度は保険のきかない自由診療で、高額の負担ができる人しか利用できません。安倍内閣が医療・製薬企業支援のため成長戦略に盛り込み、「混合診療」の例外として、既存の「評価療養」(先進医療など)、「選定療養」(差額ベッドなど)と並ぶ三つ目の仕組みとして、来年の通常国会に法案提出を狙っています。
協議会で、厚労省は「申請の対象は限定しない」と説明。自由診療が際限なく広がることが分かりました。
安全性や有効性については、診療の前例がない場合は国が6週間(現在は6〜7カ月)で判断、前例がある場合は臨床中核病院が2週間(同1カ月)で判断します。同省は審査期間を大幅短縮するために「持ち回り審議を活用する」と述べ、安全性などが後退する危険性が示されました。
自由診療である同制度をだれもが受けられる保険適用にすることについては、「(適用に向けて)治験等に進むための判断ができるよう実施状況を報告」するにとどまり、保険適用に直ちに結びつくものではないことが明らかになりました。
委員からは、「6週間にこだわらず安全性を確認すべきだ」「申し出たのだからとすべて患者の責任になるとしたら問題だ」などの意見が出されました。