2014年10月17日(金)
ビキニ被災船 資料全面公開を
紙議員追及 農水相ら「再度調べる」
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日本共産党の紙智子参院議員は16日、参院農水委員会で、厚労省が9月に初めてビキニ被災船にかかわる文書を公開したことを受け、「農水省としても改めて調査し、資料を公表すべきだ」と迫りました。西川公也農水相、本川一善水産庁長官は異口同音に「再度、倉庫などを調べます」と答えました。
紙議員は、質問の冒頭、アメリカが1954年の3月から2カ月間に太平洋・ビキニ環礁で6回も強行した水爆実験に遭遇した日本の漁船が第五福竜丸以外にもあったことを紹介し、西川農水相の見解を問いました。西川農水相は「当時、漁業者に迷惑をかけたことは遺憾である」と答弁しました。
厚労省資料のなかで紙議員が取り上げたのは、「第五福龍丸事件善後措置に関する打合会」会合記録です。同年12月に日米両政府で政治決着するまでの日本側の秘密会合の記録です。出席者名簿に、安藤(正純)国務大臣と、各省庁の役人、水産庁からは清井(正)長官の名前があります。
紙議員が示したのは、「極秘」と印字された5月6日の第十回会合記録に添付された水産庁資料です。「ビキニ水爆実験による直接損害に関する件」と、第五福竜丸を含めた17隻の損害額の表です。(写真)
記録によると、この十回会合のテーマは、第五福竜丸の買い上げから、補償問題です。「直接補償要求資料として清井長官より第五福竜丸他十六隻の被った損害に関する資料を提出」と記述されています。
さらに、会合記録をみると、「水産庁より」、「清井長官より」として、被災船の調査報告の記載があります。
たとえば、第十六回会合(8月6日)の記録には、「国内補償措置について清井長官より左の報告があった。1、先に内払を行った三十三隻以後の一一六隻の漁獲物を廃棄した漁船の損害について前回同様の算式で内払すべく大蔵省と折衝中である」とあります。
「清井長官より」「水産庁より」とした資料、文書が残っていないか―ビキニ被災の全容解明や被害者救済の視点からも徹底した調査が欠かせません。