2014年10月17日(金)
きょうの潮流
空約束とはこのことです。小渕優子経産相が先月、川内(せんだい)原発の再稼働に関する政府方針を鹿児島県に伝えた文書にこうあります。「(再稼働への不安の声がある)現状から決して逃げるのではなく、正面から向き合い…丁寧に説明を尽くしてまいります」▼再稼働の前提となる規制基準を川内原発が満たしたとする審査結果の住民説明会が周辺5カ所で開かれています。開かれた所では、どこでも不安や批判が噴出しています。説明者が「絶対安全はない」というと、住民から「だったら動かすな」と声が上がりました▼「避難計画を再稼働の条件にするべきだ」という要求や、「重大事故が起きれば、住民は生存権、居住権が奪われる危険がある。絶対安全を求めるのは当たり前」の声。説明会に参加し「かえって不安になった」という感想までありました▼主催は県などですが、説明者は原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁職員です。規制委の田中俊一委員長は一昨日、“コミュニケーション不足との批判があるが”という質問にこう答えました▼「われわれがやっているのは科学技術的な審査。(説明会は)30分で質疑が終わったというけれども…安全に対する不安とかですので、議論、コミュニケーションというレベルには達しないのですよ」。安全に対する住民の不安を切って捨てる態度です▼説明会の会場では質問を遮ったり、打ち切ったりする例も。安倍政権がいう「丁寧に説明を尽くす」との正体が、ここにも現れています。