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2014年10月15日(水)

福祉人材確保検討会取りまとめ

賃金引き上げ策なし

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 厚生労働省の福祉人材確保対策検討会は14日、議論の取りまとめを出しました。人材確保に欠かせない賃金水準の引き上げ策は盛り込まれず、介護福祉士の国家試験義務付けを延期するなど、安上がりの確保策を打ち出しています。

 取りまとめでは、若者や女性らの「参入の促進」などを掲げる一方、養成学校の卒業者に対する2016年度からの国家試験の義務付けを延期することを打ち出しました。資質向上のために決まっていた施策を先送りして、人材確保につなげたい考えです。

 養成が求められている介護福祉士は「重点化する」と規定。「2025年までに介護人材の5割を占めることを目指す」とし、これまで掲げていた「当面5割以上」の目標を後退させました。資格の高度化も含めて、教育のあり方の検討を進めていくとしています。 取りまとめに「外国人労働者の活用」は盛り込まれませんでしたが、厚労省は「別途、検討の場を設ける」と表明しました。

 取りまとめを受けて同省は、2025年までの10年間の計画を策定する予定です。

解説

賃上げ・処遇改善策こそ必要

 「福祉人材確保対策検討会」の取りまとめは、「賃金水準の問題のみならず、より総合的・中長期的な視点で取り組む」として、人材確保の中心課題である賃金水準の問題に正面から応えておらず、実効性が問われる内容です。

 厚労省の2013年調査では、全産業の平均月給は32万4千円に対して、福祉施設の介護職員は21万8千円と差が大きく、勤続年数も低くなっています。

 意欲に燃えて就業した人たちが、「結婚、出産・育児」(31・7%)「収入が少なかった」(23・5%)を理由に辞めています(12年度の厚労省調べ、複数回答)。

 取りまとめでは、「若者に選ばれる業界への転換」「女性の参画」などを打ち出しましたが、賃金水準の向上なしに実現できません。

 しかも、「資質の向上」を掲げながら、介護福祉士の養成学校を修了した人への2016年度からの国家試験義務づけ延期を提示しました。人材不足を理由に、「重点化」の名で資格者を抑え、安上がりで低賃金の介護労働者を増やす考えです。

 安倍政権は日本再興戦略で、「介護分野における外国人留学生の活躍」を掲げ、低賃金の外国人労働者の活用を狙っています。これでは介護サービスの向上という国民の願いに逆行します。

 安心して働き続けられる処遇改善策こそ、人材確保の確かな道です。 (岩間萌子)


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