2014年10月13日(月)
子どもの“未来の扉”危機
生活保護世帯の学習支援事業 来年度から国庫補助半減
生活保護世帯の子どもを対象に全国で取り組まれている学習支援事業の存続が危ぶまれています。全額国庫負担となる補助金が2015年度から半減されるため。「子どもたちの“夢を開く扉”をなくさないで」との声があがっています。
「先生、これでいい?」「そう、それでいいよ」
福祉施設の一室に真剣な声と和やかな声が広がります。埼玉県が行っている生活保護世帯の中学生向け学習支援教室です。
県は民間団体「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」に委託し、生活保護世帯への支援事業「アスポート」(明日へのサポート)として中高生向けの学習支援を実施しています。
支援事業では教員OBなどの支援員(58人)が定期的な家庭訪問で働きかけを行います。大学生ボランティア(登録600人)も参加。中学生向けに17カ所(さいたま市は独自に実施)で週2〜3回の学習教室を開いています。ここで中学生の対象者約800人中、約300人が学んでいます。
生活保護世帯では、勉強机もない世帯も少なくなく、学習につまずき、不登校となる子どもも少なくありません。生活保護世帯の高校進学率は90・8%で、全世帯の進学率よりも8ポイントも低くなっています。埼玉県は89・9%だった高校進学率が学習支援により97%に達しています。
「『アスポート』がなかったら子どもは高校にもいけずブラブラしていたかも」
こう話すのは、孫の高校2年生と中学1年生の兄弟を養育する女性(61)。中学2年生のときに「いける高校はない」といわれた兄が、学習教室に通って工業高校に合格しました。高校2年になり「大学に行きたい」と目標をもって歩んでいます。
「貧乏でも条件があれば勉強したい子はたくさんいるはず。そういう子どもを発掘してくれたのがアスポートです。なくなると下の子はどうなってしまうのか心配。絶対になくさないで」