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2014年10月10日(金)

道徳の「教科化」

「いじめ」解決と相いれない

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 中央教育審議会(文科相の諮問機関)が、国家が道徳を押し付ける道徳「教科化」の答申を出そうとしています。いじめ問題の解決を理由にしていますが、どうなのか。

 安倍首相は、いじめ対策に「規範意識を教えることが重要だ」と繰り返し発言しています。「教科化」を提起した教育再生実行会議も、大津市の男子中学生いじめ自殺事件(2011年)をあげました。

「競争主義」

 同事件が起きた中学校は文部科学省指定の「道徳教育実践研究事業」推進校で、「いじめのない学校づくり」を掲げていました。大津市の第三者委員会の報告書は、「道徳教育や命の教育の限界」をあげ、「学校間格差、受験競争の中で子どもたちもストレスを受けている」と述べ、競争主義が社会的背景にあると指摘。「学校の現場で教員が一丸となったさまざまな創造的な実践こそが必要なのではないか」と強調しました。

 日本共産党の宮本岳志衆院議員が昨年6月、いじめ事件で道徳教育が不十分だったと下村博文文科相が述べていることを取り上げ、「規範意識を指導せよと国から命じられても、子どもにも親の心にも響かないと言わざるをえない」とただしました。下村氏は「道徳教育が不十分であったがゆえに、あのような痛ましい事件が起こったとは言っていない」と表明。道徳教育だけでいじめを防げないということを否定できませんでした。

 子どもたちが市民道徳を身につけることは重要です。しかし、その内容を国家が決めて押し付けることは、憲法に照らしても許されないことです。

内心の自由

 しかし、答申案は、道徳を「特別の教科」として強制する体制を敷き、検定教科書を使用させ、評価を行う内容です。評価にあたっては、作文やノート、発言や行動の観察、面接などで資料を収集し、考え方から行動に至るまで全面的な評価を行うよう求めています。これでは「内心の自由」を踏みにじり、国家が個人の発言や行動まで強制することになりかねません。

 答申案は、「特定の価値観を押し付けたり、主体性を持たず言われるままに行動するよう指導したりすることは、目指す方向の対極にあるもの」と言い訳していますが、「道徳の教科化」の中身とは矛盾するものです。 (浜島のぞみ)


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