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2014年10月9日(木)

論戦ハイライト

安倍政権の経済政策追及

参院予算委で 大門議員

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 8日の参院予算委員会で日本共産党の大門実紀史議員は、さまざまなデータを示して消費税再増税の中止、最低賃金引き上げを求め、法人税引き下げ競争やめよと安倍晋三首相に迫りました。


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(写真)安倍首相(左端)に質問する大門実紀史議員(右端)=8日、参院予算委

消費税増税の中止、最低賃金引き上げを

 アベノミクスの下で、国民の実質賃金が低下していると指摘した大門氏。総務省「家計調査」(2人以上の世帯のうちの勤労者世帯)をもとに、最も収入が低い階層で実収入と消費の落ち込みが大きいことを示しました。

 この世帯層は、賃上げから置き去りにされた大企業の非正規雇用労働者や中小企業で働く人が多く、円安と消費税増税で物価だけが上がりました。

 大門氏は、2012年12月の安倍内閣発足時と比べ、「年収300万円世帯だと可処分所得で(年間)7、8万円の負担増だ」と指摘。「生活を切り詰めるしかないところに追い込まれている。この層の底上げなしに消費全体が上向くことはあり得ない」と強調して「消費税の再増税は中止すべきだ」と主張しました。

 安倍首相は正面からの答弁を避け、「消費税の引き上げは社会保障費、子育てのため」とごまかしました。

 大門氏は、所得の低い層の賃金を底上げするために、最低賃金の大幅な引き上げが重要だと提起。今夏の最低賃金改定は2%程度の引き上げにとどまり、消費税増税分にも追いつかないと指摘しました。

 改定された最低賃金は、全国で最も高い東京都の場合でも時給888円、月(160時間労働)に14万2000円です。最も低い時給677円の地域では同10万8000円(同)にしかなりません。

 大門 これで家賃、光熱費、税金、社会保険料を払い、残ったお金で生活できるか。

 首相 できることであれば、最低賃金がもっともっと上がる経済状況をつくっていきたい。

 日本と対照的に、最低賃金引き上げを経済対策として取り組んだのが米国です。2007年から5年間で、中小企業支援8800億円とセットで取り組み、41%も引き上げました。(グラフ参照)

 大門氏は、こうした取り組みにより540万人の賃上げになって消費も拡大し、当初は心配した米国経済界、中小企業団体も歓迎したことを紹介。経済効果があるとわかって次の段階の引き上げもすすめられている動きを示し、米国の最低賃金の伸びが06年に比べ2倍近い96・1%、日本は同年比で15・9%の引き上げにとどまっていると述べました。

 大門 フランス、イギリス、ドイツ、アジアでも経済対策として(最低賃金の引き上げは)有効ということで広がり、取り組み始めている。本気で大きな規模で考えてほしい。

 首相 今は2けたの伸びを続けている。これを持続したい。

 首相は米国はじめ、諸外国のような大規模な引き上げには背を向けました。

法人税引き下げ競争やめよ

 法人税率30%なかばから、アジアなみの20%台に引き下げる―。この安倍政権の方針をめぐって大門氏が示したのは、財務省が作成した「企業負担の国際比較」(1面グラフ参照)です。それによると、日本の法人税負担の対GDP(国内総生産)比は3・2%です。韓国(3・5%)やシンガポール(3・9%)よりも低く中国(3・2%)と同じ水準です。

 大門 これで「アジアとの競争だ」というのは違うのではないか。

 首相 投資する環境を整える観点から、成長指向の税体系に変えていく。

 データを示し、本当に引き下げが必要なのかを問う大門氏。消費税や所得税など国民負担の増大を招く「法人税の引き下げ競争」は、OECD(経済協力開発機構)などでも弊害が議論になっています。

 麻生太郎財務相もこの問題に関して「法人税の(引き)下げ競争をやって行き着くところは何か考えないといけない。全体として話し合っていかないといけない大事な問題だ」と答弁しました。

 実際に、韓国では法人税減税を撤回し、野党からさらなる増税案が出されて攻防が続いています。中国やシンガポールも企業の社会保障負担を増やす方向になっています。

 大門 引き下げ競争をあおることは日本がやるべきことか。尊敬される提案をすべきだ。「お互いの首を絞めあうからやめよう」と。それが日本がとるべきアジアでのリーダーシップだ。

 首相 日本の法人税は競争の観点からいえば、高いという意見があるのも事実だ。

 従来の発想から抜け出せない首相の答弁に対し、大門氏は「もっと大きな判断をするべきだ」と述べました。

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