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2014年10月8日(水)

主張

再生エネ買い取り

原発のための制限なら重大だ

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 ビルの屋上や民家の屋根に太陽光発電のパネルをよく見かけます。温泉地などでの地熱発電や大きな羽根の風力発電もよく見る風景です。太陽光・熱、地熱、風力、水力などの再生可能エネルギーは、石油や石炭とは違い、地球の温暖化を招く二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスを発生しない点でも注目されています。普及を促進するため、政府は再生可能エネルギーで発電した電気は全量を電力会社に購入を義務付けてきました。ところが最近になって、いくつもの電力会社が買い取りの制限を始め、再生エネの普及に逆行すると批判を呼んでいます。

道理ない一方的打ち切り

 本来法律で全量買い取りが義務付けられているのに、電力会社はなぜ制限するのか。電力会社の言い分はこうです。

 再生可能エネルギーの普及が急速だったので、買い取った電気を送る送電線などの設備が足りなくなった。太陽光や風力は季節や天候、時間帯によって発電量が変わるので、電気を蓄える蓄電設備や不足を補う火力などの発電設備も整えなければならない―。

 もっともらしい理由ですが、全国10の電力会社のほとんどがいっせいに買い取りを制限しなければならないほど、送電線などの設備が不足しているというのは合点がいきません。太陽光や風力発電が季節的に変動することはわかりきっていたことで、政府や電力会社はその備えもなく普及を進めたのか―。疑問は解消されません。

 送電網や蓄電設備などが足りなければ、国も後押しして増やせばいいことで、それは可能です。一部の電力会社で電気があまるなら、融通することもできます。太陽光や風力などの発電が増えているといっても、電源全体に占める割合はわずか2%程度です。国際的には日本は立ち遅れが顕著です。これで買い取りを制限しなければならない理由にはなりません。

 電力会社への全量買い取りの義務付けには、電力会社が「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる恐れがある」場合は買い取らなくてもいいという抜け穴があります。電力会社は、再生可能エネルギーの供給が増え、需要とのバランスが崩れれば、大規模な停電になる恐れがあるといいます。

 しかし、太陽光発電がもっともすすんでいるといわれる九州電力でも、発電量は300万キロワットを超える程度です。九州電力は計画中を入れれば発電量は4倍にも達する、そうなれば一時的に需要を上回ることもあるといいますが、仮定の話です。いま買い取りを制限するというのは筋が通りません。

普及拡大の後退許されず

 電力会社が再生可能エネルギーで発電した電気を買い取る費用は電気料金に上乗せされています。電力会社は発電量が増えても困るわけでもないのに、なぜ制限するのか。買い取りを制限した電力会社のうち新規契約をすべて停止したのは九州電力、北海道電力、四国電力など原発再稼働を急ぐ会社です。再生可能エネルギー買い取りの制限は、原発を続けるためではないのかとの疑いは消えません。

 政府も電力会社の動きに合わせ、買い取り制度の見直しをはじめています。再生可能エネルギーの普及拡大を後退させ、原発再稼働を推進するためなら、それこそ絶対に許されません。


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