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2014年10月7日(火)

論戦ハイライト

「基地たらい回し」の実態追及 「住民より米軍」を厳しく批判

衆院予算委 赤嶺議員の質問

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 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は6日の予算委員会で、沖縄県民の反対を一顧だにせず、新基地建設を進める安倍晋三首相の姿勢を批判し、「基地のたらい回し」では沖縄県民の負担は絶対に軽減されないと迫りました。その論戦をみると―。


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(写真)安倍首相に質問する赤嶺政賢衆院議員(左)=6日、衆院予算委

「移設」条件付き「負担軽減」

県民の願いは縮小・撤去

 日米両政府は1995年の米兵による少女暴行事件を受け、米軍普天間基地の返還に合意しました。しかし、「移設」が条件とされたため返還は実現していません。

 昨年3月、日本政府は名護市辺野古への新基地建設に向けた埋め立てを申請。仲井真弘多(ひろかず)知事は自らの公約を裏切り、昨年12月に承認しました。1月の名護市長選で稲嶺進市長が再選され、改めて新基地建設反対の民意が示されましたが、政府は辺野古でのボーリング調査を強行しています。

 赤嶺氏は「政府の対応に、県民の怒りはさらに広がっている」と指摘。地元メディア(琉球新報、沖縄テレビ放送)の世論調査で、基地建設に向けた作業を「中止すべきだ」と答えた県民が8割を超えた結果の受け止めを問いました。

 首相は質問に答えず、「普天間の固定化はあってはならない」「辺野古移設は負担軽減に十分資する」とあくまで建設を推進する考えを示しました。

 県民が基地建設に反対する背景について「県民の苦難の歴史がある」と強調した赤嶺氏。沖縄戦(1945年)で上陸した米軍が住民の土地を奪って基地を造り、戦後も米軍占領下で“銃剣とブルドーザー”により住民の土地が奪われ、基地が拡張されてきた歴史を告発しました。

 赤嶺 県民が求めてきたのは米軍基地の縮小・撤去をすすめることだ。「基地のたらい回し」ではない。辺野古に基地ができれば沖縄の負担は軽減されると言うが、負担は北部・中部の住民に集中し、将来にわたって苦しめられることになる。

 首相 米軍基地によって抑止力機能を果たす。この抑止力機能において、日本は平和と安全を手に入れることができる。

 赤嶺氏は、すでに辺野古周辺では垂直離着陸機オスプレイが飛来し、学校や集落の上空を飛んでおり、東村高江では集落を取り囲むように着陸帯の建設が進んでいる実態を示し、「基地が造られれば、こうした訓練が激しくなりかねない」と批判。当初のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意では、5年から7年で返還される計画だった普天間基地は、「移設条件」があったため、返還されずに今日に至ったと指摘しました。

 赤嶺 総理は「普天間基地の一日も早い危険性の除去が必要だ」と言うが、移設条件を付けたことが、普天間の返還を遅らせてきたのではないか。

 首相 辺野古移設を着実に進めたい。

 赤嶺氏は、移設条件付きにしがみつき、普天間の危険性を放置してきたのが日米両政府であり、住民の安全や生活よりも、米軍の運用を優先する姿勢だと批判しました。

 赤嶺氏は、沖縄返還交渉の米側の交渉当事者だったモートン・ハルペリン氏が先日、47年ぶりに沖縄を訪れ、「基地をめぐる沖縄県民の意思は尊重されるべきだ」と語っていることを紹介。「政府は、この指摘を重く受け止めるべきだ」と求めました。

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(写真)普天間基地のオスプレイが飛び交う沖縄県宜野湾市

基地機能の本土「移転」

空中給油機は再飛来

 安倍晋三首相は、普天間基地の基地機能三つのうち、空中給油機の岩国基地(山口県)への移駐など二つが本土に移転されるから「(沖縄の)負担は軽減される」などと強調し、沖縄県名護市辺野古への米軍・新基地建設を合理化しています。赤嶺氏は、この首相の“ごまかし”に切り込みました。

 赤嶺氏は、普天間基地から岩国基地へ移駐した空中給油機が再び普天間基地へ飛来して、離着陸訓練をしていることを指摘して追及しました。

 赤嶺 空中給油機は岩国基地に移駐したが、辺野古の新基地にも飛来することになるのではないか。

 江渡聡徳(えとあきのり)防衛相 滑走路の長さを考えた場合、辺野古で(空中給油機を)運用するかは微妙だと思う。

 赤嶺 空中給油機の離陸に必要なのは最大1433メートル。オスプレイは1536メートルだから、新基地でも離着陸できる。

 防衛相 最終的には米側の運用状況による。

 辺野古への飛来を否定できない防衛相。赤嶺氏は、米軍が「(空中給油機は)今後も定期的に沖縄に飛来」「引き続き普天間基地、伊江島補助飛行場、嘉手納基地、および沖縄周辺の訓練空域を使用し、運用、演習、訓練を支援する」と沖縄での訓練を継続する方針を打ち出していることを示しました。

 「本籍地は“岩国”でも、現住所は“普天間”のままだ」

 こう指摘し、F15戦闘機の訓練の一部が本土に移転した嘉手納基地でも同じように外来機が飛来して、騒音被害がより激しくなった事例を提示。重ねて迫りました。

 赤嶺 米軍は住民の生活や安全よりも軍事を優先する軍隊として69年間、私たちの目の前で活動してきた。米軍による自由勝手な基地使用を保障した日米安保条約・地位協定に手をつけない限り、沖縄の負担は軽減しない。

 防衛相 少しずつかもしれないが、努力している。

 防衛相は言い訳を繰り返し、まともに答えられませんでした。

埋め立て計画変更

「環境配慮」は 口だけ

 赤嶺氏は、政府が9月に新基地建設にむけた埋め立て計画の変更を沖縄県に申請した理由をただしました。

 政府は従来、埋め立てに必要な土砂を辺野古ダム周辺で採取し、ダム湖面をまたいでベルトコンベヤーを使い運搬するとしていました。ベルトコンベヤーの設置には名護市の同意が必要。政府は国道を使用して、ダンプ・トラックで運ぶ計画に改めました。

 赤嶺 なぜ計画を変更したのか。

 防衛相 着実かつ効率的に工事を進めるためだ。

 赤嶺氏は、ダンプ・トラックによる輸送に改めると名護市と協議し、同意を得るという手続きは必要ないと指摘し、「一方的に計画を変更し、協議を打ち切り、名護市の同意がなくても工事を進められるようにしたのではないか」と重ねてただしました。

 赤嶺氏の追及を否定し、「安全及び環境に配慮し、着実かつ効率的に工事を進めるためだ」と述べる江渡聡徳防衛相。これに対し赤嶺氏は、計画変更で、10トン車換算で合計10万8000台、1日平均592台のダンプ・トラックが行きかうことになることを告発。

 「政府は、ベルトコンベヤーを使うことで、ダンプ・トラックの走行に伴う粉塵(ふんじん)や騒音、振動を避けられるとし、環境に配慮された計画の根拠の一つとしてきた。そのこととの関係をどう説明するのか」と述べ、“環境に配慮”という政府のごまかしを追及しました。

 江渡防衛相は、計画変更について沖縄県が審査中であることを理由に、答弁を避けました。

県民意思に向き合わない首相

 6日の衆院予算委員会で、建設を強く拒絶する沖縄県民の世論調査を突きつけて認識を問うた赤嶺政賢議員に、安倍晋三首相は正面から答えず、県民に向き合うことを避けました。

 沖縄新基地建設に向けた作業を「中止すべきだ」と答えた県民は8割を超え、ボーリング調査を開始した安倍政権の姿勢に81・5%が「不支持」です。

 この数字をつきつけた赤嶺氏の追及。これに対し首相は、基地建設がいかに沖縄の「負担軽減」につながるかを得意げに語り、「地元の意向を丁寧にうかがいながら進める」などと建設強行を宣言しました。

 首相のいう「負担軽減」について赤嶺氏は、米軍の運用実態を示して反論。「官僚が鉛筆をなめなめしてつくった作文だ」と、机上の答弁を切り捨てました。

 今年9月、沖縄返還交渉の米側の交渉当事者だったモートン・ハルペリン氏が沖縄を訪問。基地の現実を目にして、「これだけ多くの米軍基地が沖縄に残っているという現実に、あらためて驚きを感じた」「基地をめぐる沖縄県民の意思は尊重されるべきだ」とのべました。この発言をどう受け止めるかを問われても、首相は「ハルペリンなる人物を承知していない。発言内容も承知していない。確かめていない段階で答えられない」と冷たく言い放つだけ。

 沖縄県民の意思を徹底的に無視する首相の姿勢があらためて浮き彫りになりました。

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