2014年10月3日(金)
年金制度拡充が課題に ILO
国際労働機関(ILO)は9月30日、今後の社会開発計画で年金制度の拡充や老齢者の社会的保護を中心課題に位置づける必要があるとの報告書を発表しました。
報告は「強力な社会的保護を基礎にした公的な社会保障制度は経済回復に必須である」と強調。現在、国連で制定作業が行われている2015年以降の社会開発計画を定めた「持続的開発目標」(SDGs)に年金制度拡充を取り入れるよう求めました。
報告は、世界の年金受給資格年齢の人の48%が年金を受け取っておらず、年金受給者の52%が、十分な給付を受けていない実態を明らかにしています。
報告は「高齢者は貧困に陥らずに尊厳をもって退職する権利を持っている」と強調。世界の45カ国以上で年金を受給できる人々の割合は90%を超え、途上国でも20カ国以上で全国民を対象にした年金制度がほぼ確立している半面、緊縮政策による財政引き締めで年金生活者の社会的保護の後退もあることを指摘しています。
報告は「家計収入の減少は国内消費の減少につながり、景気回復を遅らせる」と強調。「欧州14カ国で少なくとも2050年までは年金の減額が続く」見込みであることに懸念を表明しました。