2014年10月3日(金)
きょうの潮流
NHKスペシャル「老後破産の現実」に衝撃が広がっています。焦点をあてたのは、600万人に迫る独り暮らしの高齢者。その半数近くが年金収入年間120万円未満で生活保護水準以下。200万人が保護を受けずに暮らしているといいます▼窮乏ぶりに息をのみます。東京・港区の男性(83)は月10万円の年金で家賃は6万円。正社員として23年間、働きましたが起業で失敗。電気も止められ、生活保護を受けることに▼秋田の女性(84)は月2万5千円の国民年金で暮らします。食費は月4千円。川の魚や山菜をおかずにします。狭心症で医療費が重い負担です▼リウマチで歩行もままならない女性(82)は散歩が夢。いつも窓から外を眺めています。頼みの綱の息子は亡くなり、夫も他界。収入は国民年金と遺族年金で8万円弱です。年金が引き下げられる中、これ以上介護サービスは増やせないとリハビリを続けます▼番組は今から50年以上前、すべての国民が年金に加入する仕組みができた頃は、家族との同居が前提で年金は小遣いのようなものだったと解説します。しかし今は年金だけで暮らす独り暮らし高齢者が急増。特に国民年金は満額でも月6万4千円です。人間の尊厳が問われている、と明治学院大学の河合克義教授▼反響で多いのは「人ごとではない」。「老後破産の次は介護破産」という声も。安倍政権発足1年で働く貧困層が30万人増えたとの統計があります。それでも消費税を増税か。“庶民総破産”への道です。