2014年10月2日(木)
DIOジャパン疑惑
内部資料が語る“錬金術”
補助金で人件費賄う
東日本大震災からの「復興」を看板に国の緊急雇用創出事業を利用、電話応対業務を請け負うコールセンター子会社を相次いで設立するなど、東北中心に企業規模を急速に拡大した株式会社DIOジャパン(資本金1億4000万円。本社、東京・愛媛。本門のり子代表取締役社長)。厚生労働省が指摘する補助金をめぐる同社の「不適正事案」疑惑を裏付ける内部資料を、本紙は関係者から独自に入手しました。そこから見えてくるのは―。 (山本眞直)
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DIO子会社の研修関係者が、示した一枚の請求書。
電話応対業務を依頼した顧客あてのものですが、発行人はDIOジャパン本社で、請求額は約600万円。2013年10月21日から11月20日までの一カ月分です。入金先は伊予銀行本店営業部のDIO普通預金口座とあります。
しかし請求書には作業場所として、東北の自治体名を冠したコールセンター名が記入されています。同センターはDIO社の子会社ですが、独立した法人(株式会社)です。
関係者が指摘します。「13年10月から11月というのは雇用創出事業で、従業員は補助金で給与が賄われている『研修中』ですよ。しかし会社の自治体への報告には“収入なし”。おかしいですよね」
自治体との委託協定は、委託事業での収益金は経費などを差し引いた分の返還を明記しているからです。
自治体が雇用創出事業の委託契約をしているのはそれぞれのコールセンター株式会社で、DIO本社ではありません。
にもかかわらず請求金額はDIO本体の口座に入金される仕組みです。関係者は、こう告発しました。
「このときの受電業務、これは顧客あての電話注文をうけるものでインバウンドとよばれる作業だったんですが、電話1台につき1時間1200円という契約でした。しかしこれは業界ではありえない金額だ。こんな安価な契約ができる背景には補助金で人件費が賄えるというカラクリ、錬金術ですよ」
DIO社は2000年に設立し、コールセンター業務では後発ながら旅行雑誌や宿泊予約サイトを運営する大手業者の電話応対業務を受託。さらに東日本大震災をきっかけに国の緊急雇用創出事業で各地に子会社を設立、13年3月期には年収10億円強を計上するまでに急成長しました。本門社長は「15年には株式上場をめざす」と豪語していました。
厚生労働省によれば同社への事業委託費は42億円に上っていました。同省は、従業員の給与未払い、研修生の顧客会社への違法派遣、収益の過少報告などの「不適正事案」疑惑の実態調査にのりだしています。
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