2014年10月1日(水)
「女性活躍」対象は一部
労政審分科会が報告 企業に行動計画
安倍内閣が掲げる「女性の活躍推進」に関する法案を検討してきた厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会は30日、報告を出しました。報告は、企業に対して「行動計画」の策定と公表を義務付けるものの、数値目標については経営側委員が強く反対したため「各社の実情に配慮することが必要」として盛り込みませんでした。採用者や管理職に占める女性比率の公表義務付けも見送りました。
安倍政権は「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」の実現を掲げていますが、実効性に乏しい内容となっています。実現の対象を女性正社員に限定し、半数を占める非正規雇用の女性らを対象外にしている点でも極めて不十分な内容です。
報告では、企業に対して採用者や管理職に占める女性比率、勤続年数の男女差などを「必須項目」として把握するよう求めました。しかし、公表情報については、女性の活躍状況や企業環境などと合わせた中から企業が自主的に選択することに任せています。
策定・公表を求める行動計画に、女性登用に向けた計画期間や目標、取り組み内容、実施時期などを記載するよう提示。数値目標については「望ましい」にとどまりました。
行動計画の策定・公表義務付けの対象となるのは従業員301人以上の企業。300人以下は「努力義務」にとどめました。
法案は、施行から10年間とする時限立法としています。政府は10月上旬にも「女性活躍」法案の要綱を審議会に示し、国会に提出したい考えです。
同分科会では、労働者側の委員から「一部の管理職、周辺の労働者だけでなく、非正規労働者を含めた全ての女性を対象とすべきだ」「中小企業への国の支援を前提として義務化の範囲を見直していく必要がある」などの意見が出ました。