2014年9月30日(火)
日本学術会議「核ごみ」政策提言へ
「電力会社は保管施設確保を」
日本学術会議は29日、原発の稼働で発生する使用済み核燃料や再処理後の高レベル放射性廃棄物(“核のごみ”)をめぐって、新たに発生する高レベル放射性廃棄物を暫定的に保管する技術的検討や社会的合意形成による解決の道に進むための諸課題をまとめた二つの報告書を、政策提言にする考えを示しました。
会見した「高レベル放射性廃棄物の処分に関するフォローアップ検討委員会」の今田高俊委員長(東京工業大学名誉教授)は「再稼働が始まる可能性が高くもうひと押し具体的な政策案をすみやかに出した方がいいと考えている」と述べました。
学術会議は2012年9月、高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋めて処分する国の計画は行き詰まっており、「白紙に戻す覚悟で見直す必要がある」と指摘。「暫定保管」について、使用済み核燃料などを「数十年から数百年の間」保管するなどと提言しました。
今回の報告書は二つあり、「高レベル放射性廃棄物問題への社会的対処の前進のために」では、暫定的な保管について、1世代に相当する30年を一つの期間として、その間に、その後のより長期の政策選択の判断をすべきだとしています。さらに、暫定的に保管する施設の建設は、原発で収益を得てきた電力会社が負うべきであり、使用済み核燃料を保管する施設の確保は、原発の再稼働の前提条件とすべきだと指摘。「そのような条件の明確化をしないままの、既存原発の再稼働や原発建設・増設は、『現在世代の責任の原則』に反して無責任であり、容認出来るものではない」としています。
今田氏は「暫定保管のプロセスを考えると、少なくとも10、20年かかりそうだ。今再稼働すると、無責任に放射性廃棄物をため込むことになる」と述べました。
もう一つの報告書「高レベル放射性廃棄物の暫定保管に関する技術的検討」では50年、100年、300年を節目にした暫定保管のシナリオを提示して課題を整理しています。