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2014年9月27日(土)

きょうの潮流

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 世界最大規模といわれる旅行の見本市が東京ビッグサイトで開かれています。47都道府県すべてのブースが並んで日本の魅力を売り込み、国内外からの観光客を誘おうというものです▼行楽の秋。日常とはちがう景色をもとめて旅立つ人も多いでしょう。詩人の正津勉(べん)さんは「旅とは空間の移動だけではない。時間の往還でもある」と論じています。歴史や人生をたどりながら、時を行き来することもまた旅人か▼「定住漂泊」の俳人、金子兜太(とうた)さんは訪れていない所がほとんどないほど列島の各地をめぐってきました。北海道から沖縄まで、句作の旅のくり返し。このほど全国津々浦々で詠んだ句をまとめた『日本行脚俳句旅』を刊行しました▼妻と連れ立った北の大地では〈アイヌ秘話花野湖水の藻となるや〉。転勤で福島に滞在した当時をしのんで〈人体冷えて東北白い花盛り〉。南島から最後の引き揚げ船で復員し、俳句の社会性を追い求めた東京では〈地下鉄出る髪ずぶ濡れのデモに向い〉▼金子さんは本紙で語っています。無謀な戦争の体験者として、無残に死んでいった人たちに代わって伝えたい、と。〈原爆許すまじ蟹かつかつと瓦礫あゆむ〉(広島)、〈彎曲し火傷し爆心地のマラソン〉(長崎)▼日常すべてを旅する95歳の俳人は「定住しつつ、漂泊しているのが人間の、今の生きている姿なり」といいます。〈海とどまりわれら流れてゆきしかな〉。そこには、時や場に安住せず、つねに時代の変化を感じ取る気構えがあります。


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