2014年9月24日(水)
米のシリア空爆開始
軍事介入拡大・合法性の問題…
内外の懸念 押し切る
【ニューヨーク=島田峰隆】オバマ米政権は22日、イスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」を掃討するとして、ついにイラクの隣国シリアへの空爆に踏み切りました。国内の懸念を押し切って始めた攻撃であり、米紙ニューヨーク・タイムズは「重大な転換点であり、危険な新しい段階を開く」と指摘しています。
米紙「危険な段階開く」
米議会は先週、イスラム国打倒のためにシリアの反政府勢力に軍事援助を行うとするオバマ政権の計画を賛成多数で承認しました。しかし与党民主党のペロシ院内総務は「これ以上深入りすることを認めるものだと勘違いしてはならない」と指摘。泥沼化したイラク戦争の経験から、シリアにまで軍事介入を広げることには多くの議員が強い懸念を示していました。
フランスや英国など「有志連合」に名を連ねた欧州の主要同盟国も、対シリア空爆に関しては国際法上の合法性の問題を指摘していました。イラク空爆に加わったフランスは慎重姿勢を崩しておらず、ファビウス仏外相は22日、米メディアに対し「オランド大統領はシリアで同じことをする意図はないと言ってきた」と表明しました。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は16日の会見で、対イラク空爆を容認する姿勢を示しましたが、対シリア空爆について聞かれると「あらゆる軍事作戦は国際人道法や人権に関する法律の厳格な吟味のもとで行われなければならない」と強調し、けん制する姿勢を示しました。
米軍は8月8日以降、イラク領内を約190回も空爆していますが、イスラム国は敵対姿勢をいっそう強めています。9月24日からの国連総会一般討論でオバマ大統領は有志連合の強化を訴える予定ですが、一方的にシリア空爆に踏み切ったことで風当たりが強くなるのは必至です。