2014年9月24日(水)
先住民の権利擁護を
国連総会会合 暴力・差別根絶訴え
【ニューヨーク=島田峰隆】当地で開催中の第69回国連総会は22日、世界各地の先住民の権利擁護に関するハイレベル会合を開きました。会議は、2007年9月採択の「先住民の権利に関する国連宣言」の誓約を再確認する成果文書を採択しました。
会議には先住民代表を含む1000人以上が参加。国連によると、先住民の権利擁護をテーマにこれほどの規模のハイレベル会合を開くのは初めてです。会議は23日も続きます。
成果文書は先住民指導者らと協議して作成されました。国連加盟国は「先住民へのあらゆる暴力や差別を根絶する」と強調。「先住民の土地や領土、資源に影響する計画の承認に先立って、先住民と協議、協力する」とし、特に「多国籍企業や他の事業体があらゆる法律や国際原則を尊重する責任を想起する」と述べています。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は「加盟国が国内の行動計画などで約束を守ることを期待する」と演説。クテサ総会議長も「成果文書は加盟国と先住民との協定だ」と述べて実践を促しました。
南米ボリビアで初の先住民大統領になったモラレス氏は、同国の先住民が先進国の植民地主義とたたかってきた歴史に触れ、「今日の会議が先住民の生活を守る集団的な行動を定める出発点にならなければならない」と演説しました。
国連によると、先住民人口は約90カ国、約3億7千万人で、世界人口の5%以上を占めます。
先住民の権利に関する国連宣言 世界の先住民の自決・自治権、伝統的に占有してきた土地・資源の所有権などを認め、国家は法的措置を含む必要な手段で、これらの権利を保護しなければならないと明記。先住民を強制的な同化政策や強制移住の対象としてはならないと規定しています。