2014年9月22日(月)
「イスラム国」
シリア北部60村制圧
トルコへ7万人超避難
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【カイロ=小泉大介】イラクとシリアで台頭する過激派組織「イスラム国(IS)」は21日までの数日間にわたりシリア北部のクルド人地区で攻勢を強め、英国に拠点を置く「シリア人権監視団」によると、トルコ国境近くの町アインアルアラブと周辺の60の村を制圧しました。民間人が殺害されているとの情報もあり、事態は緊迫しています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は21日、トルコ政府がシリア北部のクルド人に対し国境を開放した19日以降、トルコ側に逃れた避難民は7万人に達したと発表しました。国境付近には人々が引き続きつめかけており、避難民の数は今後さらに増えると見込まれています。
ロイター通信によると、住む家を追われた人々は「ISは行く先々であらゆるものを破壊し、民間人を殺している」「女性は避難したが男性はまだ村に残っている」などと語っています。ISは8月にイラク北部のシンジャルを侵攻し、クルド人少数派のヤジディ教徒を迫害しており、シリアのクルド人も同じ恐怖に見舞われています。
シリア北部のクルド人地区を防衛するため、トルコとイラクのクルド人民兵が現地に向かっているとの報道も伝わっています。
IS壊滅作戦をすすめる米軍はこれまでイラクで180回以上の空爆を実施し、さらにシリアでも同様の攻撃を準備し威嚇しています。しかし空爆開始後もISはイラクでの陣地を基本的に維持し支配体制を固めるとともに、シリアでは新たに勢力を拡大するという、米軍の思惑とは裏腹の事態が生じています。