2014年9月21日(日)
きょうの潮流
みずから“画狂人”と称した葛飾北斎は90年近い生涯を描くことに情熱を傾けました。希代の浮世絵師が江戸庶民のくらしや風俗、自然や妖怪まで思いつくままに筆を走らせた『北斎漫画』という画集があります▼そのなかにコマ割りで表現した描法が多くみられます。四つの図それぞれに起承転結のリズムがあり、落ちで笑わせる作品も。漫画研究家の清水勲さんは、「日本の四コマ漫画の源流」と記しています▼四コマ漫画の新聞連載が登場したのは、大正時代から。戦前・戦後にはブームが起こり、「フクちゃん」や「サザエさん」といった人気作品が生まれます。経済成長の頃はサラリーマンが主役に代わるなど、時代を映しとってきました▼本紙の「まんまる団地」が始まったのは1975年。以来、きょうで1万3845回を数え、来年は40周年をむかえます。おとな向けの日刊全国紙では最長で、作者のオダシゲさんは日本漫画家協会賞特別賞を受賞しています▼なにげない日常生活に温かい目を向け、ほのぼのとやさしいタッチで描きつづける。そんな「まんまる団地」が本になり、最近発売されました。筆者自身が選んだ「とっておき」の作品を収めています▼一日のリズムを大切にして、忍耐と集中力で毎日のアイデアをひねり出しているというオダさん。人びとの営みをいとおしみ、気負わず淡々と。これからも読者が「おもしろく、ほっとして、明るく元気になれる」作品を描いていく。変わらないオダシゲさんの思いです。