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2014年9月18日(木)

主張

労働時間規制緩和

「残業代ゼロ」の検討は断念を

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 厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会が、1日8時間、週40時間と決まっている労働時間規制の適用を除外し、「時間ではなく成果で評価される」制度の導入に向けた検討を再開しています。安倍晋三政権が6月に改訂した「日本再興戦略」(成長戦略)で「新たな労働時間制度」の創設を打ち出したのを受けたもので、来年の通常国会への法案提出を目指しています。「残業代ゼロ」の労働時間規制緩和は、今でも異常な長時間労働をますます激しくし、「過労死」を促進することにしかなりません。「新たな労働時間制度」の検討は、直ちにやめるべきです。

「過労死」促進するだけ

 1日の労働時間を8時間とする「8時間労働制」は、世界の労働者が長年にわたるたたかいで実現したものです。1886年に世界で初めてアメリカで開かれた第1回メーデーのスローガンも、「8時間労働制」の実現でした。日本でも法律で1日8時間、週40時間の労働が明記されており、使用者が8時間を超えて残業させたり、休日に働かせたりする場合は、労働者と協議し割増賃金を払わなければならないことになっています。

 文字通り、労働法制の大原則というべき「8時間労働制」を崩し、使用者が望めばいつでも、残業代も支払わず働かせるやり方は、日本の財界・大企業が繰り返したくらんできたものです。労働組合との「協定」をたてに長時間労働を押し付け、「サービス残業」を強制するなど、違法・無法な働かせ方がまかり通っています。財界の要求を背景に、安倍政権は第1次政権時代にも、事務系の労働者の労働時間規制を緩和する「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を持ち出し、「残業代ゼロ」を促進するだけだという労働者の反対で断念させられたこともあります。

 安倍政権が持ち出した「時間ではなく成果で評価される」という「新たな労働時間制度」は、いったん断念した「残業代ゼロ」制度の復活です。年収1000万円以上など「一定の年収要件」を満たし、「職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する」労働者を対象にとしていますが、運用次第でどこまでも広がる危険があります。

 「再興戦略」を受け、「新たな労働時間制度」の検討を再開した労働政策審議会の分科会でも、労働側の委員から、「なぜ年収が高ければ労働時間規制の対象外になるのか理解できない」「長時間労働・過重労働が合法的な形で助長されてしまうことになる」などの疑問や批判が噴出しています。こうした声を無視して規制緩和を強行するのは、絶対に許されないことです。

長時間労働を是正せよ

 日本の労働者の労働時間はいまでさえ諸外国に比べて長く、「サービス残業」や労働者を「過労死」に追い込む「ブラック企業」などもあとを絶ちません。労働時間の規制を緩和すれば、こうした無法な働かせ方が、文字通り大手をふってまかり通るようになります。

 労働者が長時間労働で心身をすり減らされて病気になったり、「カローシ」という言葉がそのまま海外で通用するほど外国では例を見ない「過労死」が増えたりしているのは社会にとっても損失です。

 労働時間の規制の緩和ではなく、労働時間の上限規制を設けてきびしく守らせ、異常な長時間労働を一掃することこそ急務です。


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