2014年9月17日(水)
「あらゆる措置」講じる
30カ国・機関 「イスラム国」根絶で
【パリ=島崎桂】イラク、シリアで勢力を拡大するイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」への対応を協議する国際会議が15日、パリで開かれました。参加した約30カ国・機関の首脳、外相らは、イスラム国の根絶に向け、軍事支援を含む「あらゆる措置」を講じることで合意しました。
会議はフランスとイラクが共催したもの。日本のほか、国連安保理常任理事国(米英仏ロ中)や中東諸国、国連、アラブ連盟、欧州連合(EU)の代表らが参加しました。イスラム国が国土の約4分の1を掌握しているシリアは参加しませんでした。
会議後の共同声明は、イスラム国を「イラクだけでなく、国際社会全体への脅威」と規定。国際法とイラク国民の安全を尊重したうえで「イラク当局の求めに応じた適切な軍事支援を含む必要な措置」を講じることを盛り込みました。
具体策としては、国連安保理が8月15日に全会一致で採択した決議2170の実行を明記しました。同決議は、イスラム国を含むテロ組織に対抗するため「国連憲章第7章に基づく行動」を規定したもの。国連憲章第7章は、平和を脅かす事態に際し、国連加盟国による軍事的措置を認めています。
イラクへの対応が具体化された一方、今回の会議では、シリアへの対応について意見が対立したもようです。
既にイラクへの空爆を実施している米国は、シリアのアサド政権との協力を拒否しつつ、空爆をシリアにも拡大する意向を示しています。13日にイスラム国に自国民を殺害された英国のハモンド外相も、シリア空爆を「排除していない」と語りました。
一方、アサド政権と同盟関係にあるロシアのラブロフ外相は、アサド政権との合意がない中での欧米諸国によるシリア空爆に懸念を示すとともに、シリアもイスラム国との戦闘に加わるべきだと述べました。
国連憲章第7章 国際社会の平和と安全を維持し、回復するため、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」を規定した章。安保理が脅威の度合いに応じて措置を決める根拠となります。制裁前の勧告(39条)、兵力の使用を伴わない経済・外交制裁(41条)、軍事措置(42条)というように各段階が定められています。