2014年9月17日(水)
スウェーデン総選挙 保守与党連合が敗北
新自由主義政策に批判
8年ぶり 左派が政権復帰へ
【パリ=浅田信幸】14日に投開票が行われたスウェーデン議会(定数349)総選挙は、穏健党など保守与党連合が敗北し、8年ぶりに社会民主労働党を中心とする左派陣営が政権に復帰する見通しとなりました。ただ左派陣営は過半数議席に届かず、移民排斥の極右・民主党がキャスチングボートを握る形となり困難な政権運営を強いられることになりそうです。
社会民主労働党、緑の党、左翼党の左派陣営は合わせて43・7%の得票率で158議席(前回比1増)を確保しました。うち左翼党は2議席増の21議席。ラインフェルト首相が率いる保守連合は39・3%、142議席(同36減)。民主党は12・9%で49議席(同29増)でした。
選挙結果は左派陣営の勝利というより、保守連合の敗北であることは明白です。
2006年に発足したラインフェルト政権は、企業減税や富裕税の引き下げ、その一方で医療・教育の予算削減という新自由主義政策を推進。「社会主義的な福祉国家のイメージの多くを失った」(ロイター通信)と指摘される政策に国民の批判が集中した形です。
たとえば、富裕国クラブとも称される経済協力開発機構(OECD)が昨年公表した調査によると、08〜10年の3年間に同国における貧富の格差拡大率は加盟33カ国(スイスを除く)中3位となりました。
これに対し、相対多数を占めた社会民主労働党はラインフェルト政権下で進んだ格差の是正などを約束。同党のロベーン党首は14日夜、支持者に対し「われわれは深刻な情勢にある」とし、8%に達する失業率や教育の質の低下に触れて「スウェーデンには変革が必要だ」と強調しました。
ロベーン氏は左派陣営に加え、保守連合を組む少数政党にも連立交渉を働きかける意向ですが、少数政権となる見込みが大。法案通過で難しいかじ取りを迫られる不安定政権になる恐れもあります。