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2014年9月13日(土)

きょうの潮流

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 作家・風見梢太郎さんの『原発小説集』に「四十年」と題した短編があります。そのなかに、原発にかかわってきた人物が自責の念を主人公に吐露する場面が出てきます▼「原発は大きな事故がおこったら手のつけようがないからな。俺も自分たちの造ってきたもんが、こんな恐ろしい結果を引き起こすとは思わなんだ」。そして主人公の呼びかけに、自分の知識を原発ゼロの運動に生かそうと決心します▼東京電力・福島第1原発の事故当時、現場トップにいた吉田昌郎所長の調書が公開されました。その中身は衝撃でした。「完全に燃料露出しているにもかかわらず、減圧もできない、水も入らない」お手上げ状態に。本人も一番思い出したくない場面だったといいます▼電源もすべて失い、「絶望した」。最悪の事態が迫るなか、現場は混乱し極限の状況に。「放射性物質が全部出て、まき散らしてしまうわけですから、我々のイメージは東日本壊滅です」▼同時に公表された関係者の証言からも恐ろしさが伝わります。当時、政府と東電の間で対応した細野豪志首相補佐官は、原子力安全委員長や東電幹部の「もう手はない」という発言に愕然(がくぜん)とします。菅直人首相は「リスクを完全にカバーできる安全対策はあり得ない」▼ひとたび大事故を起こせば、制御できず被害が際限なく広がる原発。いかに人類と共存できないか。いまだに事故の原因は解明されていませんが、その危険性と恐怖を如実に示したところに、吉田調書の核心があります。


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