2014年9月12日(金)
主張
大震災から3年半
人間らしい住まいの保障急げ
東日本大震災から3年半を迎えました。被災者の生活再建の遅れは依然深刻で、とても復興が進んでいるという実感はもてません。長期化する避難と先の見えない暮らしは被災者を心身ともに疲弊させています。被災者の願いに正面からこたえない安倍晋三政権の姿勢に「被災地を見放しているのか」といらだちの声もあがります。被災地の現状を一刻も早く打開するために、被災者に寄り添う政治の温かな支援がいまほど求められるときはありません。
アベノミクスが妨げに
復興の遅れをなにより象徴しているのは、災害公営住宅の建設の大幅な立ち遅れです、岩手、宮城、福島の被災3県で目標約2万9000戸にたいし完成はわずか1割程度にすぎません。平地が少ないなどの事情による用地取得の困難さもありますが、せっかく土地の確保ができても着手できないケースが相次いでいるからです。
安倍政権の経済政策アベノミクスで打ち出した大型開発中心の「国土強靱(きょうじん)化」が背景にあります。東京など都市部を中心に建設需要が高まり、建設資材や人件費が高騰した影響で、被災地では何度も入札不調が起きています。建設にたずさわる作業員の人手不足が拍車をかけています。土台づくりに欠かせない型枠工のような熟練作業者が決定的に足りません。
資材・人件費高騰は、家屋の自力再建をめざす人たちにも重大な障害となっています。1坪あたり10万円も建設費が増え30坪の家を建てるのに300万円も出費増となる人も出ています。国の被災者生活支援法による支援金300万円がまるまる消える計算です。
被災者に新たな負担をもたらし、復興の足を引っ張るアベノミクスの害悪はあまりに明白です。被災地に苦難をもたらしている現状を一刻も放置することは許されません。建設資材・人員を優先的に被災地の復興にあてることや、必要な公的支援策を抜本的に強めることが政治の大きな責任です。復興に冷や水を浴びせる消費税の再増税は中止すべきです。
いまも全国各地で約24万6000人にのぼる避難者の支援も引き続き重要です。急がれるのは被災3県で約9万人が暮らすプレハブ仮設住宅の老朽化対策です。もともと2年程度の使用しか想定していない仮設住宅がほとんどのため、生活に重大な支障がでる建物劣化があらわになっています。
カビがあちこちに発生したり、サッシが閉まらなくなったりする例が各地に生まれています。地盤が緩み、建物そのものが傾いた仮設もあります。災害公営住宅の建設が遅れ、プレハブ仮設での生活が長期化するなか、総点検し、財政措置をはじめ必要な手だてを緊急にとるべきです。被災者が心身ともに健康に過ごせる医療・介護・福祉の支援も充実が必要です。
必要とする人がいる限り
多くの人たちがいまだに生活再建の見通しがたたないのは、これまでの政府の復興支援策の多くが被災者や地元自治体の願いに沿ったものになっていないからです。国や県が一方的に上から計画をつくり、押し付けるやり方は行き詰まっています。被災者の実情に沿ったきめ細かな支援の体制をとるべきです。支援を必要とする人がいる限り、支援の手を弱めるようなことはあってはなりません。