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2014年9月7日(日)

塩崎厚労相で狙う安倍「成長戦略」

社会保障制度を解体

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年金の株式運用拡大 残業代ゼロ導入

 安倍晋三首相は改造内閣の発足で、「私たちの改革はまだ道半ばです」(3日)とのべ、「社会保障制度改革」に取り組む決意を表明しました。「成長戦略」で掲げる「改革」のためにすえたのが、日銀出身で“金融族”といわれる塩崎恭久厚生労働相です。就任時の会見やこれまでの言動から安倍内閣の危険なねらいが浮かび上がっています。

 「ベンチャー(新興企業)や未公開株への投資もありうる」

 就任会見で塩崎氏は130兆円に上る年金積立金の株式運用の拡大についてのべ、世間を驚かせました。

 積立金の6割は乱高下の少ない国内債券で運用し、国内株式は12%を基本に抑えています。それを「ベンチャー投資が危ないというのは既成概念」(塩崎氏)といって危険な株式運用を拡大しようというのです。

 運用見直しは安倍政権の「成長戦略」の柱です。巨額の積立金がありながら年金を削減する一方、消費税10%を押し付けるため、株式運用拡大で株価をつり上げ、“好景気”を演出するねらいです。

 塩崎氏は「今国会中に(見直し法案を)出さないのなら、われわれが議員立法で出す」(1月31日、衆院予算委)と圧力を加えてきました。その野望を果たそうというのです。

 「成長戦略」で掲げる「残業代ゼロ」制度についても塩崎氏は、「長時間労働をさせるものではなく、生産性を上げる改革だ」とのべ、導入をねらう姿勢です。官房長官だった第1次安倍政権の2006年にも「残業代ゼロ」をねらって、断念に追い込まれたことに反省もありません。

 また塩崎氏は「企業の収益力向上のためには、フレキシブル(柔軟)な労働移動ができないといけない」と、「解雇の金銭解決」など解雇規制を緩和する考えも表明。廃案となった労働者派遣法改悪法案も秋の臨時国会に再提出するとのべました。

 塩崎氏は、労働法制を「岩盤規制」と攻撃。「2年間ですべて片付けるべきだ」(1月の衆院予算委)とけしかけてきました。今度は厚労相として実践しようというのです。

 「成長戦略」で徹底削減し、企業のもうけ口にすると打ち出した医療分野でも、塩崎氏は、保険外診療を野放しにする「混合診療」について、「選択肢が増える」(6月のTBS番組)といって拡大を求めてきました。

 会見では「都道府県が医療費の目標を定めることも検討課題だ」とのべ、都道府県ごとに医療費を抑え込む考えまで表明しました。

 塩崎氏の厚労相起用は、「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざす安倍「成長戦略」に向けた布陣です。

塩崎厚労相 これまでの言動から

“社会保障は自立妨げる” 労働規制緩和けしかけ

 第2次安倍改造内閣で厚労相に就任した塩崎恭久衆院議員。これまでの言動などから、安倍政権のねらいを見てみると―。

 「福祉から雇用へ」―07年に塩崎氏が第1次安倍内閣の官房長官時代にまとめた「成長力底上げ戦略」の柱です。社会保障が自立を妨げているとして社会保障削減を主張。「可能な限り就労による自立・生活の向上」を求めました。「自助を基本に共助、公助が支える福祉社会」とのべ、07年度予算では、生活保護の母子加算の段階的廃止などの改悪を行いました。

 「底上げ戦略」で掲げたもう一つは、「結果平等から機会(チャンス)の最大化」への転換です。国民の生存権を保障する国の責任を投げ捨て、国の役割を「機会の提供」に後退させるものです。塩崎氏は「『結果平等』とは社会主義みたいなものだ。われわれは経済発展モデルの原則に立つ」と公言。大企業がもうかれば国民生活が良くなるという破たん済みの路線にしがみつく姿勢でした。

 この立場は、今の安倍内閣の「成長戦略」につながっています。

 6月に閣議決定した「骨太の方針」では、自助・自立を進め、社会保障費を徹底削減すると明記。医療・健康分野を企業のもうけ口にしていくことや、労働法制の規制緩和を打ち出しました。

 労働法制に関して塩崎氏は2013年10月21日の衆院予算委で、地域限定で規制緩和する「国家戦略特区」について「解雇特区なんていうのは的外れ」と主張、規制緩和をけしかけてきました。

 規制緩和の検討会議に担当大臣を参加させることについて、「抵抗大臣になるか分からない人をいれるのはとんでもない」と批判。安倍首相に「意思決定には大臣を加えない」と答弁させました。

 1月31日の同委でも「聖域なく取り組むとしているが、(特区に)労働規制が入るのか」と追及。新藤義孝担当相は「労働規制も聖域視せずにやっていく」と答えました。

 「成長戦略」で掲げる「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりをねらうものです。

 第1次安倍内閣は、貧困と格差拡大で批判を浴びて07年参院選大敗を機に崩壊しました。再び同じ路線を突き進めば、国民との矛盾は避けられません。


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