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2014年9月6日(土)

ルネサス 国主導リストラ

基本給減 広域異動迫る

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 半導体大手ルネサスエレクトロニクスがリストラを強行しています。「黒字だが、10月1日から基本給カット」「広域異動6000人」と迫り、労働者を退職に追い込んでいます。「まるでブラック企業」だとの声があがっています。背後にアベノミクスの成長戦略があります。北伊丹事業所(兵庫県伊丹市)にみました。 (菅沼伸彦)


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(写真)三菱電機の半導体部門だったルネサス北伊丹事業所

兵庫・北伊丹事業所

 ルネサスは、基本給7・5%削減を提示しています。1人月1万3000円の家族手当も廃止。平均10%減額とみられます。ボーナスは増やすともいいます。

人生設計できない

 これには、「生活への影響が大きすぎる」と不安が広がっています。30代の技術者はいいます。「生活の基盤は基本給です。ローンも食費も教育費もそうです。ボーナスをあてに人生設計はできない」。ルネサスにはボーナスゼロの“実績”があり、「会社の説明は信用できない」。

 リストラ計画は、今年1月に発表。2015年度末までに5400人を削減します。北伊丹事業所は閉鎖され、従業員1600人(関連企業含む)は、関東3事業所(武蔵=東京都、高崎=群馬県、那珂(なか)=茨城県)への異動か退職か、迫られています。

 扶養家族が複数いる技術者は「家族手当もなくなり、家のローンを返しながらの二重生活はきつい」。異動先でも「リストラは常にある」との不安で家族を伴えないため、単身赴任を余儀なくされます。

解体・再建の一翼

 政府系ファンドの産業革新機構が、昨年からルネサスの経営に関与し、リストラが一気に加速しました。

 産業革新機構は、政府が9割出資する官製ファンドです。ルネサス株7割を握り、1500億円を出資しています。産業競争力強化法に基づき設立されました。アベノミクスの成長戦略―産業のスクラップ・アンド・ビルド(解体・再建)の一翼を担っています。

 ルネサスは産業革新機構との“約束”だとして、「ボトムケース(最悪の事態)」だという1ドル=80円の為替相場を想定して、それに見合った「国際競争力の強化」のため、人減らしで600億円、人件費で100億円を削ろうとしています。リストラを、政府・経済産業省が主導しているのです。

崩れる「技術と信頼」

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(写真)「ルネサスと三菱電機は雇用を守れ」。出勤する労働者に訴える連絡会の人たち

 半導体大手ルネサスエレクトロニクスは、「顧客に選ばれる企業」の条件に「技術」と、経営を含めた「信頼性」を挙げます。どちらも足元から崩れています。

若者が次々辞める

 ある管理職は「職場のモチベーション(労働意欲)は低い」ともらします。

 40代の技術者は「まとめ役が突然辞める。その人にしかない情報を引き継げていない。情報は人から人へ渡るほど劣化する。仕事のスピードが落ちている」。別の技術者は「若手の基本給はもともと低い。初任給並みに下がる。優秀な人がどんどん辞める。会社は将来的に大丈夫か」。

 小学生の子をもつ女性は話します。「家のローン返済がまだまだ残っています」。夫の転職は年齢的にも困難で、単身赴任しかないといいます。「家族離れ離れは夫の定年まで続く」と覚悟しています。「夫は愛社精神が強く懸命に働いてきました。会社は社員を守る気が全然ない。血も涙もありません」

雇用と地域を守れ

 日本共産党三菱電機伊丹委員会の山本博昭委員長は、「こんなことを許せば、日本全体がブラック企業化する」と警告します。兵庫労連や日本共産党市議団がよびかけ、「ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守る連絡会」を結成しました。

 北伊丹事業所は、三菱電機の半導体部門でした。同社は伊丹市の誘致企業として優遇策を受けています。連絡会は、設立母体の三菱電機が北伊丹事業所の従業員の雇用を守る具体策をとるよう、井戸敏三知事と藤原保幸市長に申し入れています。


 ルネサスエレクトロニクス 三菱電機と日立製作所が設立したルネサステクノロジに、NECエレクトロニクスが2010年に経営統合。

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