「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年9月5日(金)

法人税減税「財源」探し

際立つ黒字大企業優遇

「負担増」 中小企業団体は反発

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 政府・与党が法人実効税率引き下げのための「恒久財源」として、赤字企業への課税拡大を検討しています。黒字大企業だけを優遇する法人税減税の道理のなさが際立っています。(杉本恒如)


 安倍晋三政権は「骨太の方針」(6月24日)で、法人実効税率(国・地方分を合わせた税率)を数年間で現行の約35%から20%台に下げる目標を設定。2015年度から引き下げを始めると決めました。「課税ベースの拡大など」で「恒久財源」を確保するとし、年末に向けて議論を進めています。

 財務省によると、法人実効税率を1%引き下げるには約5000億円、20%台にまで下げるには少なくとも2兆5000億円の穴埋め財源が必要です。財源確保策として政府は8月29日、自民党税制調査会の幹部会に、外形標準課税を15年度から拡大するという方針を提示しました。

規模に応じ課税

 外形標準課税は、企業が赤字でも賃金や土地建物などの事業規模に応じて支払う税金です。資本金1億円超の企業を対象に04年度に導入され、地方税である法人事業税の4分の1を占めます。

 政府は、法人事業税に占める外形標準課税の割合を2分の1に拡大すれば、法人実効税率を1・5%(約7500億円)下げられると試算。8分の5にまで広げると、2・3%(約1兆1500億円)下げられるとしました。赤字企業の税負担を増やし、黒字企業の負担を軽減するものです。

 この間、自民党と公明党の税制調査会は「法人税改革に当たっての基本認識と論点」(6月5日)で、法人税の「課税ベース(課税対象)を拡大しつつ税率を引き下げる」考えを強調。その柱の一つに外形標準課税の拡大をすえました。政府税制調査会のとりまとめ(6月27日)は外形標準課税の「対象法人の拡大を行うべき」だとして、資本金1億円以下の中小企業への課税まで打ち出しました。

 中小企業4団体(日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会)は「断固反対」を表明。「赤字法人175万社が増税」となり「賃上げ政策に逆行する」と批判しています。

繰越控除を縮小

 政府・与党が検討しているもう一つの財源確保策は、過去の赤字(欠損金)を翌期以降に繰り越して税負担を減らす「欠損金の繰越控除制度」を縮小することです。赤字を出して制度を利用する企業の負担を増やし、黒字続きで制度を利用していない企業の税負担を減らすもの。中小企業向けの制度まで縮小されれば92万社が増税になるとして、中小企業4団体は「反対」しています。

 一方、政府・与党は法人税の枠外での財源確保も狙います。「他の税目についても見直す必要」(政府税調)、「他税目での増収策による財源確保を図る必要」(自公税調)があると公言しています。政府税調は「所得税、消費税、資産税」を挙げ、法人税減税を先行させる考えも示しています。

 政府・与党の“財源探し”で一貫しているのは、さまざまな優遇税制の恩恵を受けている黒字大企業の負担だけをさらに軽くする姿勢です。増税布陣をしいた第2次安倍改造内閣は消費税を10%に引き上げることを狙います。大企業減税のために国民と中小企業に犠牲を押し付けるやり方は、「逆立ち税制」のきわみです。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって