2014年9月2日(火)
イスラエル
最大規模 土地接収へ
「和平に逆行」厳しい批判
【カイロ=小泉大介】イスラエル軍当局は8月31日、占領地ヨルダン川西岸のエツィオン入植地ブロック内のパレスチナの土地約400ヘクタールを接収し「国有地」にすると発表しました。イスラエル・パレスチナ和平の最大の障害物となっているユダヤ人入植地の拡大・強化する措置であり、イスラエル軍が先に実施したパレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃につづく重大な動きとなっています。
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ヨルダン川西岸 400ヘクタール
占領地東エルサレムとパレスチナ自治区ベツレヘムの南方に位置するエツィオン入植地ブロックには、すでに5万人近いユダヤ人が居住しています。
イスラエルのメディアによれば、今回の措置はパレスチナの五つの村の土地を接収し、新たな入植地を建設することを目的としています。イスラエル政府は同入植地ブロックを拡大するとともに、建設中の分離壁によってイスラエル側に取り込むことをもくろんでいます。
入植者らで構成するエツィオン入植地評議会は発表について、「入植地ブロックのなかに新たな街をつくることを可能にするもので、(イスラエルの)ネタニヤフ首相とヤアロン国防相に感謝する」などと表明しました。
一方、イスラエルの平和団体ピースナウは400ヘクタールという土地接収は「1980年代以降で最大規模のものだ」と指摘。「ネタニヤフ首相は和平のための外交努力を行うどころか、パレスチナとの2国家共存路線に障害をひきつづき持ち込み、1国家解決策を促進しようとしている」と厳しく批判しました。
パレスチナ解放機構(PLO)のアシュラウィ執行委員も、「イスラエルがパレスチナの土地からパレスチナ人を一掃し、1国家解決策を押し付けようと意図していることは明白だ」と声明しました。
さらにイスラエルの最大の後ろ盾である米国政府も今回の事態に強く反発しているもようです。ロイター通信によると、米国務省高官は「和平にとって逆効果だ」として、イスラエル政府に決定を取り消すよう警告しました。